短編2
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愛しい人

俺は不思議な体験をした事はないのですがよく霊の姿を見ることがあります。

この話はそんな俺が初めて恐怖(不思議?)体験をした話。

俺の(当時)引っ越してきたアパートにはずっと隅からこちらを見て微笑む着物をきた女性がいました。

その時点で怖いかもしれないんですがその時は能力がピークで、一日に十何人という量の霊を見てたので「あれ、なんかこの人ずっといるよ…」ぐらいにしか思ってなかったんです。

それでも一応悪霊とかだと嫌だったんで、神社に行ってお清めの塩をもらってきて四隅とその女性の前に置いてみたんだけど、効果はなくてその人はずっとにこにこ笑ってるままでした。別に塩に変化はなかったし、なんか笑顔を見てるとおぞましい感じとか全然しなくて、もういーやって感じだったんです。

そんな感じのある晩、俺は変な夢をみました。

なぜか俺は小さな村のような場所にいて、遠くから何かを中心として集まっている江戸時代?くらいの人たちを見ているんです。

ふと、なんか腕が怠いなと思っていたら俺はなんか縄のような物で両手を縛られていました。その両脇には厳しい目でその集まりを見る同じ様な服装の男性が二人。

すると突然、甲高い悲鳴が上がりました。集まりの中心からです。そして今まで周りで見つめているだけだった人たちが、中心にいる何かにめがけて暴行を始めました。

もの凄い勢いです。ある人は鉈を、ある人は刀?を、ある人は丸太や鋭い石で。甲高い悲鳴は殴られるたびに途切れ、また聞こえます。俺はどうやら中心にいるのは人のようだ、と考えました。しかも甲高い悲鳴ということは十中八九女性。

そこまで考えた時、急に身体から冷や汗が出てきて心臓の音が早くなりました。何か嫌な事が起きている、早くしなければ俺は酷い後悔をする!

脳味噌の中でやめろ!やめろ!頼むから!やめてくれ!と激しく俺のような俺じゃないような声が。その意思のままに叫ぼうとするんですが、喘息のようなヒューヒューと微かな息づかいが聞こえるだけ。そう、俺はなぜだか声帯が使えなかったんです。

段々と女性の悲鳴が小さくなって、やがてうめき声にしか聞こえなくなり、そして声は消えました。

村の人たちは段々と中心から離れます。そして、俺の周りに。

俺の目の前にいる一人が俺に刀を振り上げた瞬間、目が覚めました。

俺はものすごく寝汗をかいていて、壁にいた女性は消えていました。

そしてなぜか俺の枕元に、目玉があったんです。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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