短編2
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ライブハウス

これは、私が体験した不思議な話です。

10年程前、私はF県では有名なバンドのドラマーだった。(後にメジャーデビューする)

その日は、自分のバンドのワンマンライブ で、私はドラムのセッティングのためにメンバーの誰よりも早くライブハウスに入った。

このライブハウスは、全国でも有名な箱、今は別の場所ある。当時は、雑居ビルの地下一階にあった。

地下一階の入り口へは、外からの階段のみ。あとは楽屋とビルの非常階段が繋がっている。

ライブハウスの入り口を入ると、真正面にステージがあり、ステージの左側から楽屋へ続く通路があった。

私はドラムのセッティングをしながら、個々の荷物を持ってライブハウスに入ってくるメンバーと下らない話で盛り上がっていた。

R君が三往復目の荷物運びになるだろうか...衣装を持ってライブハウスに入って来た。

私は、R君をなんとなく見ていた。ホントになんとなく...。

R君は誰かと話していた。会話の内容はわからないが、声はなんとなく聞こえる。

R君は、舞台袖の通路(入り口から見て左側、私から見て右側)を通って楽屋へ衣装を運んでいた。

私は他のメンバーと下らない話をしながら「間違えなく」R君を見ていた。

R君が私の視界から完全に見えなくなった...直後。R君は絶叫とともに皆のいる場所(客席)まで走って来た。

たった今さっき俺と会話してた人...誰?

誰も答えない...

R君は...

俺は、誰かの後ろをついていったんだよね...でも楽屋へ入ったら誰も居なくて...

私は、R君がライブハウスへ入って来た時から、楽屋への通路を通るまで、ずっと見ていた。

確かに誰かと会話していた。

しかしR君は一人だった...

間違えなく一人だった。

このライブハウスの不思議な話しは、数多くあり。体験者も友達の友達ではなく、直の先輩からが、そのほとんどだった。

今はもうこのライブハウスない。

R君は一体何の後ろについていったのだろうか...。

怖い話投稿:ホラーテラー 元バンドマンさん  

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