短編2
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弁当が届く

バイトの友達は、とにかく痩せてて、俺はいつも、

「バイトが終わったらメシでも食いにいかない?」

て誘います。

だけど決まってそいつは、

「実家から、弁当が届くんだ…」

そう言って断られます。

なんでも、実家は東北の方で料亭をやってるらしく、そこから毎日弁当が届くらしい。

バイトの休憩の時にそう聞いて、俺は

「東北から毎日て…

どんだけ金持ちなんだよ」

東北から東京までの、輸送料を考えたら、なんで弁当なんて届けてるんだと不思議でした。

しかし、その友達は、日に日に痩せて行きました。

顔色もいつも青白いのです。

俺は心配になって、

「お前大丈夫か?ちゃんとメシ食べてんの?」

そう聞くと、

「うん…実家から弁当が届くから…」

俺は「弁当て、1日一食しか食べてないのか?」

そう聞くと、

「うん…だけど明日で終わる…ちょうど一年だから…」

と、訳の分からない事を言い出しました。

そして、

「〇〇君…明日バイト終わったら…家に来て…もう僕、実家に帰るから…」

そんなことを言い出しました。

次の日、バイトが終わってから、友達が住むアパートへ行きました。

友達の部屋は、本当に何もない部屋でした。小さなテーブルと布団、それ意外は何もありませんでした。

友達は、

「〇〇君、良くきてくれたね、僕、明日実家へ帰るんだ。」

と、いつもより元気な声で話ました。

「そうか…それは残念だな」

俺がそう言うと、部屋のチャイムが鳴った。どうやら、いつもの弁当が届いたらしい。

友達は、弁当を受け取ると、包みを破り捨て、弁当に食らいついた。

ものすごい勢いで食らいつく…

途中立ち上がりトイレで吐き、そしてまた弁当に食らいつくのでした。

俺が呆気に取られていると、弁当を食べ終わった友達がニッコリと笑っていました。

そして話出したのです。

「母さんにね…頼まれたんだ…一年弁当を食べてって。

父さんがね、母さんをいつも殴って、母さんはいつも顔が腫れてた…でも、父さんはある日いなくなってしまった…

そしたらね…母さんが、僕に、東京に行って一年間弁当を食べてくれて…僕、母さん大好きだから…」

そしてまた、トイレに吐きに行きました。

俺は、友達が言ってる事が理解出来なかった…

理解したくなかった…

友達は、その日を境に姿を消しました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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