バイトの友達は、とにかく痩せてて、俺はいつも、
「バイトが終わったらメシでも食いにいかない?」
て誘います。
だけど決まってそいつは、
「実家から、弁当が届くんだ…」
そう言って断られます。
なんでも、実家は東北の方で料亭をやってるらしく、そこから毎日弁当が届くらしい。
バイトの休憩の時にそう聞いて、俺は
「東北から毎日て…
どんだけ金持ちなんだよ」
東北から東京までの、輸送料を考えたら、なんで弁当なんて届けてるんだと不思議でした。
しかし、その友達は、日に日に痩せて行きました。
顔色もいつも青白いのです。
俺は心配になって、
「お前大丈夫か?ちゃんとメシ食べてんの?」
そう聞くと、
「うん…実家から弁当が届くから…」
俺は「弁当て、1日一食しか食べてないのか?」
そう聞くと、
「うん…だけど明日で終わる…ちょうど一年だから…」
と、訳の分からない事を言い出しました。
そして、
「〇〇君…明日バイト終わったら…家に来て…もう僕、実家に帰るから…」
そんなことを言い出しました。
次の日、バイトが終わってから、友達が住むアパートへ行きました。
友達の部屋は、本当に何もない部屋でした。小さなテーブルと布団、それ意外は何もありませんでした。
友達は、
「〇〇君、良くきてくれたね、僕、明日実家へ帰るんだ。」
と、いつもより元気な声で話ました。
「そうか…それは残念だな」
俺がそう言うと、部屋のチャイムが鳴った。どうやら、いつもの弁当が届いたらしい。
友達は、弁当を受け取ると、包みを破り捨て、弁当に食らいついた。
ものすごい勢いで食らいつく…
途中立ち上がりトイレで吐き、そしてまた弁当に食らいつくのでした。
俺が呆気に取られていると、弁当を食べ終わった友達がニッコリと笑っていました。
そして話出したのです。
「母さんにね…頼まれたんだ…一年弁当を食べてって。
父さんがね、母さんをいつも殴って、母さんはいつも顔が腫れてた…でも、父さんはある日いなくなってしまった…
そしたらね…母さんが、僕に、東京に行って一年間弁当を食べてくれて…僕、母さん大好きだから…」
そしてまた、トイレに吐きに行きました。
俺は、友達が言ってる事が理解出来なかった…
理解したくなかった…
友達は、その日を境に姿を消しました。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話