彼氏だと思った彼女はそのまま二階へ。
二階も当然明かりはなくそんなに大きい家ではないはずなのにやけに広く感じたそうです。
もちろん二階にもお札が。
二階も何室かあったのですがドアが開きません。
奥へと続く廊下を歩いていくと、ほかの部屋のドアとは違う、文字なのか紋様なのかよく分からない不気味なものが赤黒い色で描かれているドアがありました。
彼女は「直感的に開けるのはまずい」と思ったそうですが、ここに彼氏がいると思って、ドアを開けました。
その部屋は壁、天井、床、一面にドアの表面に描かれていた不気味な紋様が描かれていたそうです。
あまりの不気味さに入るのを躊躇しましたが、ここ以外は入れないので奥に入っていきました。
その部屋はちょっとした広間のような部屋で奥には祭壇みたいなもの。
その部屋の隅っこに膝を抱え、髪や顔を掻きむしった後がある彼氏を見つけたそうです。
何度呼びかけても反応せず、目は虚ろで聞き取れないぐらい小さい声で
「助けてくれ・・・助けてくれ・・・助けてくれ・・・」
と何度もつぶやいていたそうです。
車に乗せてホテルに戻ってもその状態は回復せず、地元の病院にいっても変化なし。
担当した医師が今の状態になった経緯を彼女に聞いて、こういう話をしたそうです。
「この島は昔から先祖崇拝する島で、とても先祖を大事にしています。たとえば、身内に不幸があったりするときちんと、先祖を敬ってないから不幸になったって理由にするんです。
また悩みごとや不幸なことが起きると先祖に救いを求める風習が昔はあったそうです。
その家はおそらくその風習を一昔前まで行っていた一家ではないでしょうか」
とのことでした。
最後に医師はこう言ったそうです。
「私がいうことではありませんが、もしかしたら彼はその家系のもう崇拝されることも思い出されることもない先祖を見てしまったのかもしれませんね」
怖い話投稿:ホラーテラー タツさん
作者怖話