短編2
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カメラの場所

あるアパートに一人の女性が引っ越してきた。彼女を仮にFとする。

Fさんが越してきたのは、五階建てのさほど大きくないアパート。Fさんの部屋はその四階にあり日当たりの良い場所だった。室内も広く、なにより家賃の安さに心奪われたのが、Fさんがここにこしてきた最大の理由であった。

Fさんがアパートに越してきて一週間がたった。Fさんは自分の部屋のある違和感に不安を抱き始めていた。というと、Fさんが部屋に居る時どうも部屋のあらゆる場所から自分のことを見られている気がするのである。気のせいだと思い始めのうちは気にしていなかったFさんも、仕事で疲れて帰って来たときなどに、何者か分からない視線を受けるのはどうしようもなくFさんをいらだたせた。

ある日、いつものようにFさんは仕事から帰り部屋でのんびりとくつろいでいた。落ち着いてくると気になってくる視線。Fさんは我慢の限界を迎えた。Fさんは片っ端からいろいろな場所を調べ始めた。調査するうちにそれはどんどん見つかった。ベッドの下、洗面所の鏡の裏、トイレの収納棚の上から監視カメラのようなものが次々と見つかったのである。中にはレンズが壁に埋め込まれているところまであった。

Fさんは集めてきたカメラを床に置き、終始唖然となった。Fさんはふと気づいた。まだ調べていないところがあったのである。それは押入れだった。普段Fさんはベッドで寝起きしていたので押入れを開いたことは一度もなかった。越してくるとき、無駄なものは全て処分したので、押入れを開ける理由もなかった。よくみたら押入れの隙間が数センチ開いていた。Fさんは確信した。間違いなくカメラが仕掛けられていると。

Fさんが押入れの方に向かおうとしたとき、プルルルルルルルっとFさんの携帯がなった。相手はFさんの友人だった。Fさんはかけてきた相手の要望も聞かずに今自分の部屋で起きている状況を全て友人に話した。友人は警察に電話するといって、危ないかもしれないから部屋を出ないようにと注意を促しながら会話をたった。

Fさんは友人との話を終えた後、再び押し入れをあけようとそちらの方に目を戻した。Fさんは持っていた携帯を落とした。そして数歩後ずさった。Fさんが凝視する目の前の押入れ。その戸は一ミリとも開いていなかった。

怖い話投稿:ホラーテラー トトロちゃんとトロさん  

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