これは、僕が一人暮らしを始めたばかりの時、体験したことです。
そのアパートは、駅から遠く離れているせいか、あまり人が住んでいない所でした。
ある日の夜、寝ていると、僕の部屋のドアをノックする音が聞こえました。
(こんな時間に誰だよ…)
僕は、少しイライラして、覗き穴から見てみました。
そこには、顔色が悪く、妙に首の長い、女の人がいました。
そしてドア越しに、その女は言いました。
「すみません、私、下に住んでる者なんですが…ちょっと私の家に来ませんか?」
僕は、その時は、女の非常識さに腹が立ち、
「こんな時間に、どういうつもりですか!」
と、追い返しました。
女は、何かぶつぶつ言いながら帰って行きました。
次の日の夜、また同じ時間に女が部屋をノックしてきました、
「下に住んでる者なんですが…ちょっと来ませんか?」
僕は、ちょっと怖くなったので、昨日の様に声は荒げず、
「すみません、仕事で疲れてるもので…
休みの日でもご挨拶に伺います。」
すると女は、昨日の様に、ぶつぶつ言って帰って行きました。
僕には、女が何を呟いているのか聞こえました。
女は、
「時間がない…時間がない…」
そう呟いていたのでした。
そして次の日も、また同じ時間に、ドアをノックする音に目覚めました。
私は、ため息を付きながら、覗き穴を見たのですが、女の姿を見て、体が凍りつきました…
首が、異常に長いのです。最初見た時よりもずっと首が伸びていました…
女は、いつもと違い、乱暴に、ドアノブをガチャガチャ回しながら叫ぶ様に言いました。
「下に住んでるの!早く来てええ 早くきてえええ…時間がないのををををを…」
僕は、怖くて毛布をかぶりガタガタ震えてました。
しばらくすると、
ビチョンッ
と、音がしてそれきり女の声は聞こえなくなりました…
次の日、僕は管理人の人に、この事を電話で伝えました。
管理人が、僕の下の部屋に合鍵で入って見るとそこには、首を吊ってから、一週間ほどたった女性の遺体があったそうです。
体の重みに耐えきれず、首が切れてしまっていたそうです…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話