短編2
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エアー〇〇〇〇

俺が中学の頃、先生から聞いた話。

先生が大学生の頃、友人三人と、去年サミットで有名になった洞爺湖に行った。

季節は夏で、毎晩、湖に花火が打ち上がる。

それを、目当てに来る人達で洞爺湖の夜は賑やかだ。

湖のほとりで、ごった返す人々の中、先生と友人達も混じって花火を見ていた。

ただ、あまりにも人が多いのが嫌になり、少し離れたところで見ようと移動した。

移動した場所は、少し開けた場所で、後ろには旅館が立ち並んでいる。

先生が、さっと旅館を見渡した時、ある旅館の3階の窓に両腕を組んで乗り出すように花火を見ている可愛い女の子が目についたそうだ。

気付くと、友人の目にも止まってたらしく『あの娘、可愛いね』等といいながら、わいわい盛り上がっていたそうだ。

まあ、それでも、まだ花火が打ち上がっているので、また花火を夢中で見ていた。

しばらくして、何故か、何か予感がしたのか、先生と友人達は誰先とも知らず後ろを全員で振り向いたそうだ。

そして、皆がさっき見た3階の女の子がこっちを見て笑っている事に気付いた。

まあ、男四人なので、当然の様にテンションが上がり、両手を上げて、女の子に手を振る。

次の瞬間、

笑う女の子の口が奇妙な形に歪む。

組んでいた腕がカタカタカタカタカタと上下に揺れ、窓からこちらに向かってきた。

それは、見えていた上半身だけの姿で、空中を滑る様に迫ってくる!。

逃げる。

というか、逃げる事しか出来ない。

先生と友人達は、人混みの中に、ばらばらに逃げ込んだ。

幸いな事に、その後、みんな無事だったそうだ。

俺が当時、この話を聞いた時、凄く怖かったのを覚えてる。

そして、それから十年後、何気なく見たサイトである都市伝説を見た。

上半身だけの女が追っかけてくる。

まるで、あの時の先生の話みたいじゃないかって思った。

怖い話投稿:ホラーテラー 弥孤さん  

Concrete
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