短編2
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深夜のナースコール

この話は昔母が体験した実話です。

母の職業は看護師。

当時働いていた(今から20年以上前)病院はいたって普通の病院で三階の病棟で働いてました。

若かった母はローテーションで日勤も夜勤もこなしてました。

ある日入院患者がいっぱいでベッドの空きがなく、それでも入院患者が来てしまう為に困って考えた挙句、霊安室を片付けて使ってないベッドを置き一つの個室を作りました。

(←酷い話だが…)そして日中に一人のおばあさんが入院してきました。

おばあさんは足が悪く車椅子に乗って来ました。

もちろん一人では歩けません。

部屋は例の「霊安室」しかないので案内して色々説明します。

(もちろんおばあさんにはそこが霊安室なんて言ってません)

母親も内心悪いなぁと感じていたものの、短期間での退院と分かっていた為、気持ちを切り替えて仕事をしていたそうです。

で、その日の夜の事…

母は夜勤でナースステーションで働いていました。

ナースコールがなります。

(昔のナースコールは今と違って会話が出きるようなものではなく、鳴ったらそこまで歩いて行くものでした)

点滅しているランプを見るとおばあさんの「部屋」からです。

嫌な予感がします…

ここで迷いが生じてしまいます。

嫌だ!恐い!行きたくない…と思い悩みますがそれも一瞬の内で、…覚悟を決めて行くしかない!と、振り返った瞬間…

ナースステーションの入口におばあさんが立っていました。

小刻みに震えながら、瞳孔が少し開き気味になっていました。

何より母が一番ビックリしたのが霊安室から50M以上もナースステーションから距離があるのに車椅子ではなく、歩いてここまで来たとゆうこと。

ナースコールが鳴って→ランプを確認→一瞬迷うも→行くと決めたら…もうそこにいた。

多分手すりにつかまりながら自力で来たのでしょう。

ほんの数分で着たことに驚いていると、おばあさんは泣きながら「あそこの部屋を変えてちょうだい!」、「あそこの部屋には戻りたくない!」と物凄い形相で訴えてきました。

理由を聞こうと思いましたがあえてやめたと言ってました。

おおよその見当はついてるから…と。

事情を知っている母はおばあさんをナースステーションで寝かせる事にしました。

人間は目の前で起こる現象が常識の範囲をこえた時、本来の力以上のモノを出すのでしょう。

それはたとえ自分に障害やハンディキャップがあったとしても…

そこから逃げなければ…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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