短編2
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あれから

気付けば、昔からの友達が隣にいた。

「今日は休みなので、服を買いに行くの付き合え」って。

まあ、暇なので、近所のデパートへ付いていく。

でっかいデパートだが、俺は一度も中に入った事が無い。

友達がデパートの中をズンズン歩いて行くので、置いて行かれないよう背中を追っかけて行く。

デパート内は、外観とは違い、妙に狭い通路が続いており、黒い壁で照明も薄暗く、両脇にはアンティークな椅子や小物などが、ぐちゃぐちゃと並べられていた。

そんな光景に戸惑っているうちに、友達の背中は随分遠ざかってしまった。

慌てて走って追っかける。

どんっ。

肩に何かが当たった。

その瞬間、回転椅子の様になっていたのか、大きなフランス人形がくるっと、俺の方を向いて止まった。

青い無機質な目に、びくっとした。

気付けば、俺は車を運転していた。

助手席には誰も乗っていなく、後部座席には昔よく遊んでいた女友達が二人座っている。

なんだか、様子がおかしいなと思いつつも楽しく話をする。

車は、両脇が壁に挟まれた道を進んで行く。

一本道のかどを曲がると、行き止まりだった。

かなりの速度で走っていたので、ブレーキは間に合わない!。

女友達の悲鳴が聞こえる中、壁がどんどん迫ってくる。

ぶつかるっっ!。

気付けば崖の上に立っていた。

下には、何故か見慣れない砂漠が広がっている。

高いところは苦手だが下を見下ろしてみる。

その時、どんっと何かに背中を押された。

頭から下へと落下していく。

その時にはもう分かってた、夢だって。

だが、まるで本物の様な恐怖を感じる。

俺はパニックになりながらも、『これはゆめだ。覚めろっ!』と心の中で叫んだ。

気付けば、ベッドの感触。

ああ、目が覚めたんだと安堵する。

ゆっくりと目を開ける。

間違いなく自分の部屋だけど、視界がおかしい。

まるで、目に赤いフィルムを被せたかの様な赤と黒の世界。

なんだ、これはっ。

これも、夢?。

ガバッと、飛び起きた。

なんだ、夢か?。

さっきのは、妙にリアルで現実との区別がつかない感じがしたので、少し怖く感じた。

安心のせいか、トイレに行きたくなったので、部屋のドアに手をかけた。

ガチャガチャガチャ。

開かない!。

まさか、これも夢か?。

すーっと、ベッドの上で目を開けた。

ふぅー。

これは、夢じゃないよな?。

すーっと、ベッドの上で目を開けた。

もう、これが夢だか現実だか分からない。

この夢から抜け出せるのか?。

すーっと、ベッドの上で目を開けた。

なんか、違和感を感じる。

これは、現実なのか、夢なのか?。

いつか覚める夢なのか?。

あれから、五年。

何度も夜を重ねたけど、あの時みたいな夢から覚めて、今までがリセットされるような感覚は感じた事はない。

今、俺のいる世界は本当に夢じゃないよね?。

怖い話投稿:ホラーテラー 弥孤さん  

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