短編2
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負けた

近所に、大変はた迷惑な女性が一軒家で一人暮らしをしている。

白髪頭はボサボサで顔は薄汚れてて確認できないが、衣服も破れてホームレスのような有様だ。

年齢不詳だが、若くはないだろう。

築30年以上は経過しているであろう二階建ての家は手入れを怠っているため外壁が剥がれ落ち、今にも崩れそうに傾いている。

面して小さな庭があるが ゴミ袋の山に埋もれ土さえも姿を見せない。

俗に言うゴミ屋敷で女性は暮らしている。

特に夏は悪臭が酷くハエや蚊が異常発生し自宅の窓さえ開けられない。

何度も役所の人間が彼女の家に訪問するのを目撃したが、話し合いにも応じないようだ。

そして私は最悪なことにゴミ屋敷の隣に住んでいる。

半月前の朝方、たまたまゴミ屋敷から出てきた女と鉢合わせになった。

無性に怒りが込み上げ、文句を言うために女性に近づいた。

女性は道端に座り込み、 落ちていた食べかけのパンをビニール袋から取り出していた。

ぶつぶつ文句言いながら食べ始める。

『食べ物を粗末にしおって。罰当たりが』

『あのですね』

私は、めげずに女性に話しかけた。

振り向いた女性の口元に 小さな黒くうごめく物体が数匹見えた。

パン屑に群がる蟻の大群だった。

顔中這いずり回る数匹の蟻を女性は、もろともせず、手で拭いながらパンを口の中に入れていた。

私は それ以上何も言えず、その場から逃げ出した。

怖い話投稿:ホラーテラー りんさん  

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