A(オカルト興味なし)
B(オカルト興味アリ)
続き物です。想像しながらどうぞ。
その障子から覗いていた目はすぐに見えなくなりました。
Aにははっきり見えなかったようですが、Bは見てしまったようです。
A「どうしたの?あそこになにがあるの?」
B「目が・・・目が・・・」
と呟くばかり、Aが障子のほうにライトを照らして見ましたが何も見えません。
Bはいまだに自分の体を抱きしめるように震えているので広間から出ようとしましたが、腰が抜けてしまったのかまったく動けません。しかたなく
、その場所に二人とも身を寄せながらBの状態が回復するのを待ちました。
10分ぐらい座っていると落ち着いたのかBが
B「Aの言うとおりこの広間には入っちゃいけなかったんだよ。
Aはみえなかったの?障子いっぱいに人間の目がこっちをみてたの」
A「さっきも言ったけど何もみえなかったよ、でもBが広間の入り口を開けた瞬間から視線を感じなくなった」
B「今も感じない?」
A「今は感じない。でも早く出よう、こんなとこ一秒だっていたくないよ」
B「ごめんね、こんな所にまで連れてきて。
やっと落ち着いたから出よう。さっきみたいなのもう見たくないからね」
二人は立ち上がり広間の入り口に向かってAがBの手を握り、Aを前にして歩き出した時さっきまで感じなかった視線どころじゃないっていう気味の悪い気配をAは感じてしまったそうです。
二人を中心に囲っているような。
遠くからみているような。
すぐ後ろにいるような。
下からも見られているような。
気持ちの悪い感触をAは
感じながらもBのことを思い何もいわずに早くここから出ることだけを考えながらBの手を握りしめ、宴会場をあと少しで出られるその時、Bの歩いている床がいきなり
ミシ、ミシっと
音を立て崩れ落ちました。
Bは悲鳴を上げて落ちそうになりましたが、手を握っていたのですぐには落ちず、Bは穴の中に中吊りの状態。
B「絶対離さないで!!
お願いだから離さないで。」
A「大丈夫、大丈夫だからライトは捨てて両手でつかんで!!」
Bの持っているライトが落ちながら穴のそこを照らすとAは見てしまったそうです。
穴の底にいた何十人っている人間のようなものが全員、上を見上げているのを。
それをみてしまったAは恐怖のあまり、体が固まりBの手を思わず離しそうになりましたが、
B「早く上げて!!お願いだから早く上げて!」
と、悲鳴に近い声に我に返り、力いっぱい引き上げようとしますがまったく上がりません。
むしろ、逆に下から引っ張られている重さを感じます。
A「何?何なの?どんどん重くなってる!?」
B「お願いだから上げて・・・何かが掴んでる。下に引っ張られてる!嫌だ。怖い。たすけて。たすけて。」
力いっぱい引っ張っているにも関わらず、Bの体は徐々に徐々に、下に落ちていきます。
A「絶対に離さないで!
絶対に助けるから!」
Aの声はBには届いていないのか、Bは髪を振り乱して錯乱状態で
B「離して。離して。離して。掴まないで。掴まないで。嫌だーーー」
と叫びながら宙吊りの状態で暴れてしまったのです。
その拍子で掴みあっていた手が外れ、Bは穴の底に落ちてしまったのです。
Aを見上げながら悲鳴を上げ、落ちていくBの体に何十人という人間がしがみ付いているのをまるでスローモーションを見るようにAは見てしまったそうです。
そのしがみ付いている人間と視線が合ってしまったことも。
さっきまで感じていた大勢の気配は消えていました。
Aは直感的に今までここにいた気配が全てBの元にいったと感じました。
一人でBを探しに行く勇気もなく、急いで旅館に戻り従業員にこのことを告げ、警察も一緒に旧館でBを捜索したそうですがBは見つからずそのまま行方不明となってしまったそうです。
警察がBを捜索している間、Aは体験したことを旅館の女将に話し、旧館にまつわる話を他言しないという約束で話してもらったそうです。
「あなたがいた旧館は前の戦争時、病院が足りないということで多くの病人や怪我人が収容されていた施設だったの。当時の日本軍は直る見込みのない病人、怪我人は「お国の為にならん」という理由だけで無差別に殺してしまったそうよ。いなくなった分、兵士とか収容できるでしょ?
女も子供も、老人も例外なくね。
戦争が終わって旅館として営業していたらしいけど幽霊騒ぎが出てくるようになったので今の旅館を建てたらしいの。
殺されてしまった人たちの未練や恨み。
そういったものが怨霊みたいなものになり、Bさんを連れていったのかもしれない。あなた以外にも旧館で何かを見たって言うお客さんがいたらしく決まって窓とか ドアの隙間から薄気味悪い目がこっちをみていたっていうの。噂だけどその目をみたお客さんは自殺したり、行方不明になったりしたそうよ。あなたはみてないよね?」
怖い話投稿:ホラーテラー タツさん
作者怖話