短編1
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地獄の蚊

これは、仏教大学を出て、山に籠り、悟りを得たと言うホームレスのおじさんから聞いた話。

おじさんが言うには、

「人間死ぬと、輪廻を辿ることになる。

天国に行き輪廻を待つ者、現世に留まり輪廻を拒む者、地獄へ落ち浄化されてから輪廻を待つ者、この3つに分けられる。

天国行きは、それはもう優雅に輪廻を待つわなあ!

現世に残る者は、幽霊だわなあ!

でな、地獄に落ちる者はよ、″蚊″になってしまうんだわ!

生前に犯した罪の大きさに比例してな、人間の血を吸わなならん!

そうしないと輪廻を辿れないからな。

そりゃあもう必死で血を吸うわな。

だが、大抵叩き潰されちまう。

蚊になったのによ、痛みは人間と一緒なんだ。

何年も何年も叩き潰されちゃあ蘇り、また潰されちゃあ蘇り、まさに地獄やね。

だけどよ、″蚊″は潰さにゃならん。

それだけ悪いことをしたんだからなあ。」

その話を聞いた帰り道、僕の腕に蚊が止まった。

ピシャリと蚊を叩くと、どこかで吸ってきた他人の血が僕の腕にこびりついた…

血まみれの蚊はぺしゃんこに潰れていた。

それを見て僕は呟いた。

「気持ちわる…」

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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