中編4
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オレは高校の頃、図書委員に入っていた。

理由は楽そうだから。

しかし実際には意外と辛く、授業に必要な本の束を運びだしたり、昇降口にある本の返却ボックスに本を取りに行ったりなど、けっこうハードだった。

そんなある日。

おれは当番のため放課後に残り、返却ボックスに本の回収に行った。

オレは図書室で一人、回収してきた本を所定の棚にもどす作業をせず、ダラケていた。

何気なくオレは、回収してきた本を数冊ペラペラ読んでいた。

そしてオレは一冊の本に目がとまった。それは本の内容ではなく、落書きに。

『たいくつ』

適当に書かれた落書きは、誰が見ても何の気なしに書かれたようなもので、文字の丸みから女子だと思われた。

オレはあまりに暇だったため、その落書きに返事をしたのだ。

『おれも』

オレは回収してきた本をすべてもとの棚にもどし、その日は終わった。

1週間がたち、当番がまわってきた。

落書きしたことすら忘れ、オレは回収してきた本をペラペラめくっていた。

オレは少し驚いた。

今手に持っているのは落書きがあった本で、しかも返事が来ていたのだ。

『あなたは誰?』

忘れていたはオレは驚いた反面、嬉しさもあった。

オレは再び返事を落書きした。

『2年の男子 あなたは?』

すこし期待をしつつ、図書委員の仕事を終わらせ、その日も終わったのである

1週間後、期待していてもやはり忘れしまい、当番の仕事をしていた。

しかし、回収した本の中にあの本を見つけると落書きしたことを思い出し、オレは本をひらいた。

『ひみつ♡ かっこいいですか?』

その問いかけに興奮したオレは、すぐさま返事を書いた。

『まぁまぁかな(笑)』

書いたオレは、あれこれ想像した。

どんな子だろう。本ばかり読む女子だから根くらかなぁ。でも根くらが落書きするか?そういえば、けっこう可愛い女子もたくさん本を借りてくなぁ~

など、他愛のないことを想像して、仕事を終わらせた。

そして1週間後である。

オレはしっかり落書きのことを覚えていて、期待して当番にでかけた。

案の定返却ボックスの中にあの本が入っていた。オレは大きな期待を胸に本のひらいた。

そこには

『眼鏡素敵だね♪ 電話して 090-xxxx-xxxx』

オレは嬉しさのあまり図書室で「シャーっ!」と声をあげてしまった。

そして携帯を取り出し、電話をかけようとした。

・・・・ちょっとまてよ

『眼鏡素敵だね♪』?

確かにオレは眼鏡をかけている。でも何で知ってるんだ。どこかで見てるのか?

オレは身震いがして、辺りを確認した。

しかし、誰もいない。

図書室は静かさのあまりキーンと音がするくらい静まりかえっていた。

オレは色々と想像した。

誰かのいたずらか?

いやでも、もしかしたらオレのことが気になって返事をくれたのかもしれない。

でもこんなにあっさり番号を教えるのか?しかも図書室の本に。

けど、オレが当番の日にかぎってこの本があるってことは、当番の日を見計らってボックスに入れてる。てことは、やはりオレに興味があるってわけだ。

いやでも、だったら何で『あなたは誰?』なんて返事をするんだ。

返事をしてから好きになったのか?

ただの偶然か?

オレが気になっているのか?

あれやこれや色々と考えて、仮にいたずらだったとしても笑い話しですむし、もし本当だったら会って確認もしたい。

そんな結論にいたり、オレはゆっくり番号を押した。

そして震える手で発信ボタを押した。

プルルルル…プルルルル…

誰もいない図書室に、携帯の着信音だけが響いた。

プルルルル…プルルルル…

プルプルプル!!!!!…プルプルプル!!!!!…

!?!?!?

携帯から出る発信音と共に、けたたましく着信音が響いた。

自分の背後から。

恐怖のあまり固まった体でゆっくりと振り返った。

そこには、現在使われていない古い書庫の部屋があり、使用禁止になっている。

ブルプルプル!!!!!…ブルプルプル!!!!!…

その部屋から着信音は響いている。

ガチャ•••••••ギィ~••

そして、鍵がかかっているはずの扉がゆっくりと…ゆっくりと開いた。

気付いた時、オレは先生に起こされていた。

あのままオレは図書室で気絶していたのだ。

「こんなとこで寝てんじゃねぇーよ!ったく!さっさと帰れ!もうこんな時間だぞ」

そういって起こしてくれた先生の腕時計を見ると、もう19時をまわっていた。

「鍵返しにこないんで見にきたら寝てやがって!ちゃんとしろ!」

怒られたオレはゆっくりと立ち上がり、のそのそと歩きだした。

「大丈夫か?」

「大丈夫です。あの、先生なんでそこの書庫室は使用禁止なんですか?」

「さぁ?ここきてまだ短いからな。確か、床がへっこんでて危ないらしいけど?なんで?」

「あ、いやべつに•••」

後日、探したがあの本はどこにもなかった。

あの本がなんの本だったかも思い出せない。

ただ、落書きのあったページが、私に気付いてほしい。そんなことが書かれているページだったと思う。

あのとき先生は床が壊れていると言ったが、もしかしたら壊れてることにも理由があるのかもしれない。

なぜなら、記憶はあいまいだが、ただ一つはっきり覚えていることがあるからだ。

あの時、書庫の部屋の扉が開く時、オレは気絶する寸前確かに見たのだ。

扉の奥で目を見開いて笑っている女を•••

怖い話投稿:ホラーテラー 返事さん  

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