短編2
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背後

怖くないかも知れませんので了承の上、お読み下さい。

数年前、ある山道を通った時の話です。

私は一人で車を走らせていました。

季節は冬、時刻は五時~六時だったでしょうか?

辺りはすっかり暗くなっちゃってて一人で狭い車の中にいると何だか心細くなり、ラジオを聞きながら運転していました。

怪談の類は苦手で、心霊スポットへ肝試しに行こうと友人から誘われても即答で断る程の怖がりな私。

早く山道から抜けないかな?など考え、ラジオもロクに聞かず車を走らせていた。

ザザ…ザァーザザ…

一瞬、ラジオにノイズが混じり、私はヒヤリとした。

まさか、と思いつつラジオの音に耳を澄ます。

すると急に車が止まってしまった。

「ちょっと、ちょっと!勘弁してよ!」

焦った私は止まってしまったエンジンを掛ける為、キーを何度か回した。

が、一向に掛かる気配がしない。

「おいおい、冗談…マジ…」

半泣きで二つ折りのケータイを開き、友人に連絡しようとするが、まさかの圏外。

途方にくれていると後方から車の走行音が聞こえた。

ほっと胸を撫で下ろした私はドアを開け、その車を止めて事情を説明し、助けて貰おうと思いました。

しかし、車の走行音はすれど一向に車が来ない。

いや、走行音は確実に近付いているが肝心の車が見えない。

そしてあろうことかその車の走行音は私の横をあっさり通り過ぎて行った。

通り過ぎる寸前、男女の笑い声が聞こえた。

状況が全く呑み込めない。

足が震えてまったく動かない。

しばらく放心状態に陥り、ハッと我に返った私は震える足を引き摺るようにして自分の車に戻り、藁にも縋る思いでキーを回した。

するとあっさりエンジンは掛かり、私は逃げるようにその場を後にした。

怖い話投稿:ホラーテラー 狐に油揚げさん  

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