短編2
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合わせ鏡

『合わせ鏡』ってありますよね。

鏡と鏡が向かい合って設置されている状態。

鏡は鏡を映す。

鏡に映った鏡も鏡を映す。

繰り返し繰り返し。

それが延々と続けられるわけですが。

そこに自分が写っても、一人目の自分しか見えませんよね。

他の人には、鏡に反射され続けて、何十人にも増えて映る私が見えてるのに。

合わせ鏡が不吉だというのは有名な話。

小さいとき、親にドライブに連れていかれたんです。

子供心に、車に乗ってるだけのドライブが退屈で。

車のなかで寝てました。

でも、どこかのパーキングエリアについたとき。

まだ長い間車に乗ってるから、トイレに行きなさいってことになって。

年の離れた姉とトイレに行きました。

なんか随分古いというかボロいというか、粗末なトイレで。

汚いし臭いも不快だったし。

おまけに『合わせ鏡』で。

その頃の私には『合わせ鏡』が不吉だとかいうことはわかってませんでしたが。

幾十にも映され合う鏡が不気味に思えました。

トイレを済ませて手洗い場に行くと、やはり『合わせ鏡』が目に止まる。

まぁ別に単なる鏡なので手を洗い終え、姉のことを待ってると。

薄暗いトイレだからなのか何なのか、鏡に黒いというか、影のような妙なものが映っている気がしました。

姉のことを待ちつつ、それを見ていたんですが何なのかよくわからず、少し近づいて確認しようと思い。

背の小さい私は手洗い場に腕を引っかけ、鏡の方に身を乗り出しました。

やっと、わかった。

顔だ。

薄暗くて確信は持てませんが私には顔にしか。

驚いて飛び降り、身を翻して逃げようとしたら。

『合わせ鏡』なので振り返っても鏡。

そちらにも顔は移りこんでいて。

鏡に映った鏡にも、その鏡に映った鏡にも。

トイレの外で泣きじゃくっている私を見て、姉が唖然としていました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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