中編4
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マンホールの怪人

俺は〇手県にある海沿いの田舎町に産まれた。

本当に絵に書いた様な田舎で、通っていた小学校は全校で15人。6年の俺と親友の拓(仮名)が最後の卒業生だ。来年には隣町の小学校と合併されてしまうからだ。

俺と拓は、毎日川や山でアホみたいに遊んだ。まあ典型的な糞ガキだった俺らには田舎は最高の遊園地だった。

それは卒業まであと約半年という真夏の事だった。夏休み中だった俺らは、何かいつもと違う遊びがしたいと思い、拓の提案で通っていた小学校へと向かった。

到着早々、拓は

『悪ぃ~小便!!』

と校舎裏へ走る。

するとすぐ引き返して来て、『おい圭(俺)!!』

と必死に手招きをする。

俺はなんかデカいカブトムシでも見つけたのか?位にしか思って無かったので歩いて向かう。

『これ見ろよ…こんな所にこんなんあったか?』

見るとそこにはマンホール。いや…一瞬ではマンホールと分からなかった。俺は言葉を失った。何故なら、どう見ても普通のマンホールじゃないからだ。

マンホールの周りは石で囲まれ、上にはベニヤ、更にその上に祠…?極めつけによく見ると、その祠にはびっちりと訳の分からない文字が筆の様な物で書かれていた。

(大人になった今思えばお経だった気がする)

しばらく俺らは無言になったが、じっくりと祠を見ると観音開きの小さな扉がついていた。

拓『開けるぞ?』

俺『ヤバくね?』

拓『大丈夫だって!』

…骨。骨だ。見た感じ多分動物かまたは人間の…

拓は無言で扉を閉めた。

そして俺の『行くぞ!』の一言で我に帰り一目散に逃げた。俺は走りながら、後ろを振り向いた。するとあのマンホールの辺りで何かがキラッキラッと2回光った。

学校からは俺ん家の方が近かったのもあり、自然と二人で俺ん家へ。

部屋に上がって、息は切れて、混乱して絶対見てはいけない物を見てしまったと子供心に思った。

先に口を開いたのは俺。

俺『あれなんなんだよ…なんか供養するもんか?イタズラか?なんでマンホールの上に…』

拓『分からない…でも休み前は絶対無かった…イタズラでも俺ら以外にイタズラする奴なんか居ないしな…』

また沈黙が続いた。

すると部屋の襖をガラッと開けて突然俺の婆ちゃんが入ってきた。(かなりビビった)

どうやら婆ちゃんはずっと俺らの話しを立ち聞きしていたようだった。

『祠を見たんだね?見ただけなんだね?触れたり動かしたりしていないんだね?』

とすごい剣幕で聞いてきたので思わず俺は、

『見たけど気持ち悪くてすぐ走って逃げてきた』

と嘘をついてしまった。

すると婆ちゃんはさっきの鬼の様な形相から一変していつもの婆ちゃんに戻り、

『じゃあ大丈夫、大丈夫。』

と部屋を出て行った。

俺らはそのまま遊ぶ気になれず、その日は解散する事にした。

翌朝、婆ちゃんがまたすごい剣幕で寝ている俺を叩き起こす。何事かと思えば、嘘ついたね!バチ当たり!!とかそんな事を言われたと思う。

そのまま婆ちゃんに引きずられ、連れていかれたのは玄関だった。何故か両親が泣いていた。

婆ちゃんが、

『見てみい!』

と指さした先を見るとそこには…鱗?魚の、それも半端なくデカイであろう魚の鱗が何枚も外に落ちていた。そして朝日に照らされてキラキラ輝いていた…。

俺は昨日振り返ったときに見た光る物を思い出して一気に寒気がして全身の鳥肌が立った。

鱗を見ただけでも持ち主のデカさは想像がついた。同時に、それが普通の魚では無い事も…。

玄関にはもうひとつ嫌な物があった。足跡だ。そちらも一目で人間の物じゃないと分かった。

その足跡には、くっきりと水掻きがついていた。河童を想像してもらえれば分かりやすいかもしれない。

俺は昨日とうって変わって冷静で、

『俺死ぬんだ…』

って思った。両親や婆ちゃんの取り乱し様が半端じゃなかったし、この様子だと家の大人はこの化け物の事を知ってるみたいだし。

婆ちゃんは今度はゆっくりとした口調で聞いた。

婆『昨日あの祠をどうした?やったのはお前か?拓くんか?正直に言ってみい』

俺『…扉を開けた。そしたら骨が入ってて…やったのは…拓だ。俺は指一本触れてない。そっから走って逃げた。振り返ったらキラキラ光る物が見えた。婆ちゃんはそいつを知ってるんでしょ?』

婆『良かった…でも拓くんはダメかもしらん。出来る限りやってみるけど。圭は死にはしない。でもある程度怖いもん見る覚悟だけはしとき!』

そう言うと婆ちゃんは、あっちこっちへ忙しく電話をかけ始めた。

その間も俺の両親は泣き崩れていた…。

続く

怖い話投稿:ホラーテラー 元〇手県民さん  

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