短編2
  • 表示切替
  • 使い方

御守り 2

「御守り」の続きです

Aさんが亡くなったその日からAさんに貰ったブレスレットが抜けなくなったんです。

寝る時には必ずはずしており、前日まで普通に抜けていたのに一日でそんなに腕が太る事なんてないですよね。

ましてやギリギリのサイズだった訳でもありません。

仕方ないのでその日はそのまま寝たそうです。

けれど何日経っても抜けず、母は諦め今でもそのまま生活しています。

更にそれだけではありません。

ラップ現象(?)っていうんでしょうか。

店にいると風がないのにカレンダーがパタパタと揺れ、グラスもカチャカチャとぶつかり、障子もカタカタ動くんです。

他にも照明が点滅し、水道の水が流れ出し、カラオケのマイクがキーンという甲高い機械音を出したりと結構激しいです。

でもそれは毎日ではなくたまにで、誰がいても起こります。

私も体験しましたが、怖いという感覚は少しもありませんでした。

そしてお客さんの中に霊感の強い人がいるんですが、その人が来店した時にいきなり母にこう言いました。

「あー、いるねえ‥女の子が。カウンターの一番奥の席。ニコニコしながら他の客の話聞いてるし、悪い子じゃないでしょう。」と。

そう言いながら他にもその女の子の特徴を話してきます。

その特徴は紛れもなくAさんでした。

更にカウンターの一番奥の席はAさんが必ず座る席で、日本語がまだあまり上手ではないAさんはいつも他のお客さんの話をニコニコしながら聞いていたそうです。

その霊感のあるお客さん、Aさんとは面識がなかっただけにすごく説得力があり母は嬉しかったそうです。

その日はAさんの席にお酒をついでおいたら、減りはしなかったけれどグラスに口紅がうっすら付いていたそうです。Aさんがいつもしていた真っピンクの口紅でした。

そして母は今、なんとなくAさんが来た時は何かを感じるそうです。

「あ、Aが来たな。」と思う日は必ずうちの店は大繁盛です。

そんな母が一つ気にしているのは、まだAさんが成仏していないんじゃないか、ということです。

Aさんは日本に出来た友達の集まるうちの店から、母から離れたくないんでしょうね。

母からこの話を聞いて絆の深さを感じました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ