短編2
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板橋にあった◯◯研

数年前の話です。

叔父が重病を患っていた時に、当時板橋にあった◯◯研に入院していました。休日に妹と二人でお見舞いに行くことになり、少し重い気持ちで向かいました。

叔父は想像したよりは具合が良さそうで、談話室に移ってお話しようということになりました。

そこには叔父と叔母、妹、私の四人以外に、何人かの見舞い客もいました。

私たちはお茶を飲みながら30分くらい窓際にいたのですが、ある時一人のおじいさんが点滴をしながら、どこかに向かっている様子が窓に映りました。意外に早足でどこか一点を見つめ脇目もふらず歩いている…

心持ち顔色も悪いような…

ふと気づくとまた映っている…何をしているんだろう?そういえば、さっき戻ってきた姿見たっけ??

なんだか、いつも往復の『往』しかしていないような…

私ははっとして、廊下の方を見ました。おじいさん、いない…

窓に映っている時はあるのに、廊下を歩いている姿は見ていないんです。

しかもおじいさんの歩く姿はいつも同じアングルでビデオのリプレイをしているようです。

私は怖くなって見ないようにしました。

無事お見舞いも終わり、重いムードもなくなってきた頃、帰りの電車の中で妹がこう切り出しました。

「窓におじいさんがいたよね」

「!いたってどういうこと??」と私。

「振り返るのが怖くて何回も廊下を見てないんだけど、おじいさんは廊下を歩いてなかったよ…窓には映っていたけど」と言われました。

妹も見ていたようです。私たちは重病人がたくさんいる場所に行くという恐怖心が強くて、おじいさんが普通の人間に見えなかったかもしれませんが。

それにしてもおじいさんはどこに向かっていたんだろう?

入院患者だったのかな??

それとも、亡くなった後も自分の死に気づかず治療を続けているんだろうか?そうだとしたらなんだか切ないです。

時々思い出す出来事です。

怖い話投稿:ホラーテラー 霊子さん  

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