中編3
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雪山の二人

ある所にAとBという二人の登山家がいました

二人は同じ大学を出ており、別々の会社に勤めていましたが、大変仲が良い友達だったので、よく一緒に登山に行っていました

ある時、Aがどうしても冬の山に登りだいと言い出しました

冬の登山がどれだけ危険かを知っていたBはAを止めました

ですがAは「それなら一人でいく」と言って聞きません

一人でいかせる訳にもいかず、Bは渋々一緒にいくことを承諾しました

ただし、万が一の事も考えて、Bは手紙を家族に残していく事にしました

その手紙は自分が死んだ時にこうしろ、といった遺言のようなものでした

暫くして二人が雪山に登る日が訪れました

緊張した面持ちのBとは対照的にAは楽しそうでした

確かに天気は快晴、登るのならこれ以上ない天気でした

そんなこんなで二人は山に登り初めました、最初は整備されたなだらか歩道でしたが、段々険しくなり、とうとう草木の生い茂る獣道になってさまいました

そして天気は曇り初めていました。(山の天気は変わりやすいのです)

B「おい、ちょっと天気ヤバいんじゃないか?」

A「そうか?大丈夫だろこんくらい」

不安げなBとは対照的にAは楽しそうです

いつもは自分より遥かに慎重なAのいい加減な態度に少し違和感を感じましたが

ここまで登って引き返すのもアレなので、とりあえず登り続けることにしました

それから暫く歩いたところで、とうとう雪が降り出してきました

これは流石に不味いと感じたBはAに「帰ろう」と強い口調で言いました

ですがAは「大丈夫大丈夫」と言ってどんどん上に登っていきます

Aを置いて帰る訳にもいかず、Bは仕方なくAに付き合って登り続けました

道らしい道は既に無く、雪は既に吹雪一歩手間くらいに強くなっていました

これ以上行ったら確実に遭難する、そう確信したBは言いました

「おい!いい加減にしろよA!お前らしくもない、いつものお前ならさっきの段階でもう切り上げていた筈だ!このままじゃ遭難して、死んじまうだろ!」

Bが凄い剣幕で怒ったのにも関わらず、Aはサラッと返しました

「おいB、あの岩に座ってお弁当食べようぜ。」

Aがそう言って指差した方向には、決して登れない大きな岩がありました

「はぁ?何言ってんだA?かえんだよもう!登れる訳ねえだろあんな岩!」

Bはもうキレてました

でもAは「きっと登れるさ」と言って、ジャンプやタックルをその岩にしだしました

これはおかしい…

そう思ったBは必死にAを連れて帰ろうとしました

ですがAは「離せよ!」と怒ってBの手を振り払いました

Bは何かおかしいと感じました、そして万が一を考えて携帯で家族に連絡を入れようととりだしました

でもここは圏外でした

ですがBは気がつきました

着信履歴1件

どうやら、さっき登っている途中で、家族から連絡が来ていたようです

電話が来ていた時間は今から3分前

どうやらこの近くに、圏外である区域と圏外でない区域の境界があるようでした

Bは岩に飛びつこうと試行錯誤するAを尻目に

3分前に自分がいた位置まで下山しました

吹雪はいっそう強さを増しています

1~2分後でしょうか、早足で歩いたので3分とかからず電波は立ち上がりました

Bは家族に電話をいれます、すると電話の向こうでBの妻が出ました。

「おう、C(妻の名前)か、今…」

「あなた、大丈夫?!」

「ん?ああ、今はな、ただ吹雪になって来たんで…」

電話の向こうの妻は興奮気味でした

「Aさんは?Aさんはどうしてる?!近くにいる?」

妻は仕切りAの事を聞いて来ます

「ん?Aなら向こうにいるが…」

「あなた、Aさんに悟られないように落ち着いて聞いてね、さっき警察から連絡があってね、Aさんの奥さんと娘さんが殺されてたのね…」

「なんだって?!」

いきなりの妻の話に驚くB

「それでね、その犯人は状況証拠から恐らくAさんらしいの。Aさんは重い精神病を患ってて、それが悪化していたらしいのね…それで表面上は普通なんだけど…」

そこまで聞いてBは既に、妻の話を聞くのを止めていた

その理由はすぐ背後に視線を感じたからだ

恐る恐る振り向くB

そこにはナイフを持ったAがニヤニヤして立っていた

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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