短編2
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怖い話に取り憑かれる

怖い話投稿サイトというわけで、私も以前、何本か投稿してみました。

初めは何気なく投稿したのですが、コメントが付いたり、点数が付いて注目ランキングに入ったりすると、段々と楽しくなってきました。

それも落ち着くと、私は怖い話を考えること自体が楽しくなっていました。

そのうち、身の回りのなんでもないような事まで、とにかく怖い話のネタにする癖がつきました。

あれは不気味だ、あれは何かしらのいわくがあるに違いない、などと、次第に私の生活は「怖い話を考えること」が中心になってきました。

そしてある日私は思ったのです。

いっそ、私自身が怖い話になってはどうかと。

ネタはたくさんありました。

猟奇犯罪をしてみるだとか、呪術を片っ端から行ってみるだとか、とにかく私は怖い話になるような行為を紙に箇条書きにしていきました。

そのうち、妙なことに気づきました。

紙に項目を書けば書くほど、実体感とでも言いましょうか、私の身体が確かにここにある、という感覚が希薄になっていくのです。

これは来たな、と私は思いました。

すでに怖い話を考える事が全てになっていた私に、恐怖はありませんでした。

そして何かに取り憑かれたように項目を書き続けました。

するとまず、床についた足の感覚が消えました。

それはどんどん上へ上がって来て、ついに首から下の感覚が全て消え失せました。

それでも私の手は機械的に、自動的に項目を書き出していました。

そして、とうとう身体の感覚が全て消え去った時、私はまさしく「怖い話」になっていたのです。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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