中編3
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夢の中まで追って来た

夢を見た。

姉と遊園地に来た夢だ。夢の中の俺はまだ遊園地に来たばかりなのか、早く遊びたいとばかりにワクワクしていた。

しかし、ここであることに気付く。

二人だけでなく、もう一人後ろにいる…

軽く染めた茶髪、フリルをあしらったキャミソール、薄手の上着、膝上までのスカート、靴はヒール。

俺は直感でわかった。

この女は俺と姉が楽しみにしていたこの日を壊しにきた…自分の都合を俺達に押しつけるために…遊園地から出たら車にムリヤリ押し込まれ連れて行かれる……

俺達は早足で歩きだした。

ついて来る…

走る。

走ってついて来た…

俺と違い姉は体が弱い。速く走れないし体力もすぐ尽きてしまう。

結局女に追いつかれてしまった。

女は今のところ俺達に危害を加える気はないようだが、このままではダメだ、なんとかしなくては…

俺は女を出し抜くことを考えた。

まずは人の多い芝居小屋に入った。人込みに紛れればいいと考えたからだ。

だが女はびっちりと俺達の後ろについて来る…

俺「ゴメン、トイレ」

咄嗟に姉を置いて少し遠いトイレへ行った。

女は俺の読み通りこちらへついて来た。

俺の方が足が速いので、逃げられたら面倒だと思ったのだろう。トイレの前まで行く。女は後ろについて来る。

今だ…

俺は脱兎の如く逃げ出した。姉のいる場所まで。

この距離で女と差をつけておけば逃げられるかもしれないと思った。

姉の手を取り走る。

霧の城から逃げ出すゲームかよと皮肉りつつ…

遊園地は開けた場所で、角を曲がっても見通しが良いためすぐ見つかってしまう。

曲がった先にポップコーンの売店(ディズニーラ〇ドにあるような)があり、その陰に隠れる。

こんな場所じゃすぐ見つかる…

だが女は気付かなかったようだ。通り過ぎて行った。

いつ見つかるかわからない、振り返る前に逃げねば…

姉の手を引き走る

女が気付く

走る 走る 走る

やがて砂利道に出た。姉は最早疲れきっている…これ以上無理はさせられない。

ジャリッ

女はすぐそこにいた

ヒールなのになんでそんな速く走れんだよ…

そんなことを考えながらも俺は頭の中がいっぱいで泣き出していた。

どうしてそこまでするんだよ…俺達を追い詰めて楽しいか?

泣きながら足下にあった石を掴み、女へ投げる。

しかし俺は臆病者だ。人に石をぶつけるなんてできない。石は明後日の方向へ飛び、または女の足下に転がった。

女はそんな俺の様子を関係ないとばかりに近付いて来た…

目が覚める。朝だ。

ここまでなら、怖い夢で終わるだろう。

そもそも何故怖いかって?簡単さ…

夢に出て来た人は俺が知っている人。実在する人だ。

今も自分の都合を押しつけにくる。

ドアを叩き、向こう側で色々な脅しを言ってくる。

俺達のメルアドも電話番号も知っているのでメールを送ってくる。電話もかけてくる。

実家の電話番号まで知っているので、俺達がその人と連絡を取らないと実家に電話をかけてくる。

母はその人を信頼しているので、電話が来ると「心配しているんだから連絡取りなさい」という。

親にも相談できない状態。

幸せな一時を過ごしていても、ドアを叩く音とその人の声で一気に恐怖のどん底にたたき落とされる…この間はドアスコープを覗いて彼女の様子を見た。今にも刺してきそうな思い詰めた雰囲気だった…

あまりにも、連絡、取らないからかな?

ゆめのなかにまで、 デテキタヨ…

俺が怯え過ぎているために夢の中にまででてしまったのだろう…それにしても

彼女はどこまで俺達を追い詰めたいのだ?

怖い話投稿:ホラーテラー のののさん  

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