中編4
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お客様

子供のときの怖い話を書きます。

興味が無ければ、スルーしてください。

東北地方の実家は今は普通の一戸建てになっているけど、祖母が健在だったろは小さな旅館をしていた。

その旅館は夏は三陸のリアス式海岸の目当ての観光客が来ていた。

定期的な常連客は、富山の置き薬屋さんで数ヶ月単位で滞在していた。

わざわざ富山県から、薬が詰まった大きな箱を車に積んで来た。月ごとに担当の地域が決まっていて、各家庭を回り終わるまで数ヶ月滞在していた。当時はドラッグストアは無く、薬屋は町に出ないと無かった。山間部など、あまり地元の人たちも行かない地域まで、お客さんが待っているからと一軒ずつ回っていた。

薬屋さんから紙風船や空の薬袋をもらって遊ぶことが楽しみだった。

秋の港町のお祭りのイベントがあり、近所の人や友達と打ち上げ花火を家の前からござを広げてみんなで座りながら見ていた。

旅館から臨場感あり、しかも近すぎずに、ちょうどよく花火が見えた。

わざわざ打ち上げ会場の河原まで出かけなくて済むので、大人たちがビールやジュース、焼き鳥、焼きトウモロコシなど持ち寄り、ちょっとした屋台みたいだった。知っている人は手みやげ持参で飛び入り参加して、結構人が集まった。

皆でワイワイやりながら、花火を見ていたると、旅館の電話が鳴っているのに気がついた。

祖母や他の家族は花火の音や接待に気をとられているのか、全く動かない。

わたしは立ち上がって急いでサンダルを履き祖母の所に走った。

「電話が鳴っているよ!」と教えた。

祖母はうなずくと電話の元に走って行き、気になっていたのでわたしも後を追いかけた。

「塩…何でもいいの?どのくらい…一袋!…お祓い…いだこさんね。わかった。」と話しているのが聞こえた。

いだこさんとは、漁船で行方不明になった人の安否を占ったり、障り事のお祓いをする女性のこと。А県のイタコ様と関係があるのかわかりません。

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祖母がいだこさんを呼んでくる間に、玄関の鏡を花火の音を聞きながら磨いていた。

すると、祖母から「塩と酒っこを持って駐車場に来い!」と呼ばれた。

走って持って行くと、駐車場に簡易な祭壇が白い布で作ってあった。

窓ガラスが全部開いて、ドアもバックドアも開いていて異様な感じがした。

祭壇に車検証や車の鍵、大きな薬の入った箱等の車内のものが出された。

塩と酒を受け取るとすぐさま、いだこさんは歌うような呪文のような低い声でお清めをはじめた。

祖母からお八幡様から水を汲んで来いと言われ、旅館からすぐ裏手の八幡宮まで空の一升瓶を持って汲みに行った。

戻るといだこさんにすぐ一升瓶を渡した。いだこさんはドバドバと車にかけたり、榊に降ってあちこちかけて回った。

やがて薬屋さんは落ち着いた様子で旅館に向かった。

花火はもう終わり、後片付けが始まっていた。

その後、薬屋さんが気になって祖母の所に行った。

祖母はショックで何も食べていない薬屋さんのリクエストでうどんを作っていた。

薬屋さんは富山県からこちらに向かう途中にとても長いトンネルがあり、そこから人間でないお客様を連れてきたと教えてくれた。

薬屋さんは県外のお客様のために利用していたその長いトンネルはもともと怖い噂があり、仲間から聞いていた。

実際にまさか自分が体験すると思わなかったそうだ。

薬屋さんの話は車をトンネルを走らせていると、女が車道を向いて手を挙げているのを見かけたそうだ。

何度となく長いトンネルで同じ女が手を挙げているのを見てしまい、この世の者ではないと判断し、自分は何もしてあげられないため関わりを持たないように、やり過ごそうと考えた。

やっと出口が見え始めころにバックミラーを見たら、後部座席にその女が座っていたそうだ。

驚いたが、薬を必要なお客様がいると思い負けてたまるか、と旅館まで車を飛ばした。

祖母や他の客に迷惑をかけたくないと思い、途中でお祓いのお願いをする電話をしたと言うことでした。

数ヶ月後、薬屋さんの部屋の道路をはさんだお向かいの民家の部屋で、お肉屋さんのご主人が家族を肉切り包丁で刺し殺し、自分は首吊りをし窓越しに第一発見者となり、薬屋さんや祖母や家族も警察に事情を聞かれた。

その部屋はしばらくして窓越しにお肉屋さんの亡霊が見えるとお客様から苦情があり、開かずの間になりました。

子供の頃あった話です。怖いオチがなくてごめんなさい。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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