短編2
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瓶詰めの手紙。一本目

…手紙一枚目…

お父様、お母様。お二人が港で僕たち二人と百数人を乗せた船を見送ったのはもう何時の事でしょう。

出航して数時間後、あれはきっと大きな氷塊か何かでしょう。ガンっという衝撃に、ガリガリガリという船を削る音がしたと思うと、船は沈み始めました。乗客乗員はパニックになり船内は地獄絵図でした。そんな中、僕はアキの手を取り離さない様必死でした。

しかし、船の中の記憶は其処までです。気が付くと、僕はアキの手を握ったまま海岸に打ち上げられていました。

…手紙二枚目…

僕とアキは何処かも分からぬ無人島に二人で居ます。打ち上げられた日に、一日掛けて島を廻りましたが僕達二人だけでした。百数人居た乗客乗員はどこにも居ません。僕達二人を残して大海に沈んでしまったのでしょうか。

ただ確かな事は、荷物はすべて海の底だということです。

しかし、幸運なことに島を見て回った時に小屋を見つけました。

中には数枚の紙切れと鉛筆。そして小さな酒瓶に布がありました。

そうした事からこの様に、お父様とお母様にこの手紙が届くよう瓶に手紙を入れ、海に流すことを思いつきました。

そして、何時か助けが来ることを信じてアキとこの何も無い島で諦めず待つと二人で誓いました。

…手紙三枚目…

僕達は毎日あの高台に居ります。いつ助けの船が来るかわからないですからね。

島には多くの木の実や野草が生えていて食べ物には困りません。雨風を凌げる小屋もあるので、生きていくには不自由しないでしょう。

しかし、アキはまだ十三歳。僕が守らなければいけません。

助けが来るまでアキは僕が守ります。

絶対に…絶対に…

吉永 太郎

怖い話投稿:ホラーテラー ジャムおじさん  

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