老夫婦の話によると、自分達の住んでいる村営住宅に半年位前から、夜な夜な霊が現れ恐ろしくて住んで居られないとのことだ。
息子さんから、引っ越しも考えては？との提案もあったが、できれば今の住宅で最後をむかえたいと…
住宅には昔は多くの家族が住んでいたが、地域産業の低迷で、今では10棟ある建物に老夫婦と他に老夫婦が三家族、計四世帯しか住んでいないらしい
車で約１時間半、村営住宅に着く
思っていたほど過疎地ではないようだ
俺達は住宅内の老夫婦の部屋に上がらせてもらった
（何も感じないな…）
10棟ある住宅に4世帯がバラバラに入居していて６棟は閉鎖している
深夜になると４棟それぞれに霊が現れ歩きだし、時には部屋にまでくるらしい
俺達は一通り敷地、建物を見学させてもらうことに。四階建、各階に七部屋ある
「どう？」
「寂れた住宅やな〜」
「10棟あるから、けっこう広いっすね〜」
「じゃなくて霊的な感じさ！？」
「昼間だからな〜」
「昼なら怖くないっすよね〜」
確かに昼間の団地は怖くないが、何を調査すればいいのか…。
神父さんに何も感じないんですがと電話を入れたところ、心霊現象の起きる深夜に調査してほしいと
俺達はとりあえず老夫婦、他の家族の人から話を聞きながら夜を待つことにした
どこの家族に話を聞いても、夜な夜な人が階段を上り下りし廊下を歩き回ると言う。
夕食後、作戦会議を開く
４世帯それぞれが不安な為、深夜から俺達に付き添ってもらいたいと
「あんたがた、お若いけど頼りにしてますよ〜」
「ナムアミダブ…」
（いちようキリスト系なんだけど…）
俺達は、一人づつ４棟に分かれ各家庭で深夜をむかえることになった
今回も聖火、聖水、聖縄は持参しているが使えるのか（効果）？
聖縄は四人分ないし…
「大丈夫かな？」
「大丈夫やろ！」
（その自信は…？）
「ちゃちゃっと聖水まいてやっつけちゃいましょ」
（殺虫剤じゃないぞ…）
「バレルスの力見せたりまひょ」
（力あるの！？）
友人、後輩ともに変な自信があるようだが…そんなに簡単なのか？
それとも簡単だから俺達が依頼されたのか？
PM11：00
調査開始
俺達はそれぞれに建物内の家族の部屋入口付近に陣取る
（今夜は何もおきない気がする）
0時を過ぎた
何もおきない…
やはり今夜は空振りか…
1時を過ぎたが何も………
？
ピチャ
？
ピチャ‥
家の蛇口の音か？
（気になる）
ピチャピチャピチャ
おや？
ピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャピチャ―――――――――――――――――――――――――――――――――
（なによーっ！！）
水音がサラウンドの様に俺を取り囲む
（ヤベー！）
聖水！
聖水をふりまいてみた！
ピチャ――――――――――――――――――ピチャ
何も変わらない‥‥
（やばいよ、やばい）
聖火、聖火！
急いで聖火を種火からロウソクに移した
「おーーー―――――！」
ロウソクの火にうつしだされ暗闇の廊下に人のような物がボォ〜っと浮かび上がる
（げぇ！女だ！）
どうする！？
（考えろ‥）
（考えろ‥）
（怖いよ‥）
女は少しづつ歩いてるくる（怖いよ‥）
（考えろ‥）
「かえして…」
「かえして…」
女はぼそぼそしゃべりながら歩いてくる
聖縄は車に置いてあるし‥
（ヤバすぎる…）
そのとき、ロウソクの炎がメラメラと縦に大きく伸び上がりだした
眩しいのか、女はその場で立ち止まった
水音も消えた
（チャンスだ！）
俺は女の横をすり抜け建物の出口までダｱーッシュ
ピチャピチャ――――――音が俺を追いかけてくる！
追いつかれたか…
危なかった…
なんとか建物外への脱出成功
ん？
他のメンバーも外に飛び出してきた！
（まさか…？）
［バレルス脱出大成功］
（大失態じゃん…）
「女の霊がでたんよ、俺、女の子には弱いんや」
（意味違うだろ）
「あの女ヤバイっすよ
（全員、女にあったのか…）
車から聖縄を取り出し、今度は四人揃って一棟づつ回ることに
（また電車ゴッコか…）
聖縄でサークルを作りながら女の霊に再挑戦だ！
「居ないな？」
（水音もしない…）
「俺達に恐れて逃げ出したんちゃう？」
（逃げたのは俺達だろ！）
置いてきたロウソクを回収しながら最後の一棟に入る
「バタバタと走り回ってたみたいだけど、あんたがた、遊んでるの？」
（真剣です………）
老夫婦がいつもと違う物音に様子を見に廊下まで出てきている
見られてしまった……
まさに電車ゴッコ様光景…
（いと恥ずかし…）
その夜、女はもう現れなかった。
朝方、役立たずな俺達は一度、教会へ戻ることにした
怖い話投稿：ホラーテラー 匿名さん
作者怖話