中編3
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昔、あるパチンコ屋で働いていた。

ある日、上司から制服を一着、クリーニングに出すように頼まれた。

仕事がキツくて、すぐに辞めていってしまう人が多かったので、別段気にせず引き受けたんだ。

制服を持ち帰り、家で夕飯を食べてた時、玄関のドアが開く音がした。

当時、実家に住んでいた為、家族の誰かが帰ってきたんだろう、と気にもしなかった。

しばらくして、また玄関のドアが開く音。

家族で顔を見合せ、

「さっきも音したよね?」

「でも誰も来ないよね」

さすがに気味が悪くなり玄関に様子を見に行くことに。

その時、二階から太鼓を叩くような、低い重低音な音が聞こえてきたんだよ。

もちろん二階には誰もいないはずだが、実家は玄関から居間を通らず直接二階に行ける。

もし誰かが二階に上がっていたら…

そう思い、二階に確認に上がって行った。

案の定、二階には誰もいなかったんだが、重低音が止んだ変わりに今度は一階から何やら激しい言い争いの様な声が聞こえる。

その時、家には自分と母の二人しかいなかったので、今度こそ誰か帰ってきたんだろうと下に降りてみた。

…母しかいない。

上で聞こえた状況について説明しても、誰も帰って来てないし、太鼓の音は相変わらず上から聞こえてきた、と…

そんな馬鹿な…。と、その時ある噂を思い出したんだ。

「○○さんが自殺したらしい」

パチンコ屋なんて噂の宝庫だ。

真偽の確かめようの無い噂など信じない自分は、全く気にもしていなかったが、もしかして…と思い、預かった制服を調べる。

…彼女の名札が付いていた。

その日は塩で清め、お水と線香を上げて一晩過ごしたが、不可解な物音は一晩中続いていたようだった。(自分は疲れて寝てしまったが、翌朝、家族から聞いた話。)

翌日、クリーニングには出さないまま出勤。

上司に噂を問いただしたが何も言わず、ただ制服だけを持っていった。

何か腑に落ちなかった自分は、噂に詳しい班長に事情を聞いてみた。

すると、やはり制服の持ち主であった彼女は自殺していたようだった。

パチンコ屋の駐車場で、車でガス自殺を図り、第一発見者が班長だったと言う。

今思えば、一従業員の自分が、どうして彼女の制服のクリーニングを頼まれたのか。(他にも辞めた従業員は沢山いたのに彼女の制服だけ。他の従業員も頼まれていない)

あの一夜は何か伝えたいことでもあったのか。

(太鼓の様な重低音は、車から洩れ聞こえる音楽のようにも思えた)

霊感が無い上に泥の様に疲れて眠り込んでしまった自分には、何も感じ取ってあげることはできなかったが、今は成仏してくれていると信じたい。

ちなみに後日談。

その後自分はすぐ、車で正面衝突事故を起こしてしまったんだが(もちろん自分の不注意)噂好きの班長に事情を聞いたことと重なって、一連の話に尾ひれがつき、めちゃくちゃ怖い話に発展していた。

噂なんて得てしてこんなもんだよな。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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