中編5
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現実世界での恐怖

この話は一人暮しの生活で起きた実話。幽霊の類ではないが、ある意味幽霊より怖かったので投稿します。長文失礼します。

一人暮らしを始めて数年経つが、実家での生活とは違いお金が貯まらない。更に光熱費の支払いなど面倒な事も増える。

一時期、ギャンブルにハマった。仕事のストレス発散にしていたのだが、お金がどんどん減っていく。

食事はパン一個の日もあれば、焼肉の日もある。というような波のある毎日だった。ギャンブルに夢中すぎて他の事に頭が回らなかった。

ある日の夜、パチンコ店から帰宅すると家の電気が点かない。故障ではなく料金滞納で電力会社から止められていた。

溜まった電気代を払いきるお金がなかったので、そのまま生活する事にした。真っ暗の中、カーテンを全開にして月明かりをたよりに移動した。

翌日。仕事は休みだった。財布の中にある全財産は千円弱。給料日まではあと二週間あったが、夜の生活を安全に行う為に百均でロウソクセットを購入。

家に帰り着いたのは昼間だったが、自宅は部屋の位置がマンションの内側なので日当たりは最悪。薄暗い部屋の中で夜に備えロウソクの配置場所を考える。

夕方にもなれば部屋の明るさは、夜と変わらなくなっていた。早速、昼間部屋に配置したロウソクに火を灯す。部屋は中々明るかった。

モチロンテレビなど見れなかったので、暇だった。暇だったので色々な事を考えた。ふと今の状況の危なさに気が付いた。

もしロウソクが倒れたら?慌てて部屋中に配置したロウソクの火を消した。自分の無能ぶりに落胆した。結局昨日と同じ状況で就寝。

電気を使えなくなって三日目。朝から仕事へ。仕事が終わり家に着くと夜だった。この日も昨夜と同じ。仕事の疲れから、すぐに眠りについた。

電気が使えなくなって四日目。朝から仕事へ。この日の仕事は楽だった。夕方には家に着く。やはり暇だった。しかし、ある事を思いつく。作戦決行を夜に、日が沈み辺りが暗くなるのを待つ。

深夜二時半。隣の部屋からもれてくる音もなくなった。反対の部屋は空き家なので問題なし。向かいのマンションの明かりも点いていない。

電気の延長コードを片手に持ち、ベランダへ出る。隣の部屋との間には壁がある。自宅は四階で怖かったが、ベランダの壁をまたぎ隣の空き家のベランダへ到着した。

ベランダのエアコン室外機のそばには洗濯機用のコンセント差し込み口がある。準備していた延長コードを差し込み、ベランダの壁の下から自分のベランダへ延長コードを通す。

再びベランダの壁をまたぎ自分の部屋へ帰る。先程通した延長コードを部屋の中へ入れる。

確実ではない賭けだったのだが、テレビのコンセントを延長コードに差した。

我が家に電気が戻って来た瞬間だった。薄暗い部屋はテレビの明かりで見やすくなり、生活は蘇った。久々にテレビを見ながら眠りについた。

電気が戻って一日目。朝から仕事へ。悪い事をしたと思いつつも、生活の為には仕方のない事。という自己中な解釈で納得する。この日は先輩に飲みに誘われた。

いつも真面目な先輩だったので、昨夜までの出来事は隠したまま別れる。家に着くとホロ酔い気分のまま眠りについた。

電気が戻って二日目。朝から仕事へ。何事もなく一日が終わる。

電気が戻って三日目。祝日で仕事は休み。お金もなくなったので、一日中家で過ごす事にした。昼間に隣の空き家から声が聞こえてきた。

どうやら物件案内らしい。女性の声が聞こえたので、隣にいる人達が出ていくタイミングを計り自分も部屋を出てみた。お客側はキャバ嬢らしき人でなかなかカワイイ。

仮にキャバ嬢が物件を決めても、引っ越して来るまでにはまだしばらく期間があるな。と考え延長コードはそのままにした。

電気が戻って四日目。朝から仕事へ。何事もなく一日が終わる。

電気が戻って五日目。仕事は休み。この日も家で過ごす事に。しかし、昼間に隣の部屋が騒がしい。また物件案内か?いや違う。

隣に先日のキャバ嬢が引っ越して来た。延長コードの事もあり、突如としてパニックタイムに入る。

自分のベランダから延長コードを引き抜こうとするが、引っ張っても抜けなかった。諦めたのは以外に早かった。相手は女性だったから。

延長コードの存在がバレるまでの間、テレビを見ることにした。テレビを見始めて一時間が過ぎようとした時、突然画面が真っ暗になった。

ここまでか。とキャバ嬢がコードに気が付いた事を悟り、タイミングを計り延長コードを手繰り寄せる。また暗闇の生活に戻る事がつらかった。テンションガタ落ちだ。

更に一時間ほど過ぎただろうか?つらい気持ちにトドメの一撃かのように自宅の玄関扉をドン!ドン!叩く音が響いた。

キャバ嬢に素直に謝ろうと決め玄関へ。一応、扉の覗き穴から確認。

黒髪で・・・

長髪にサングラス・・・

顎に髭・・・?

誰だっ!!

キャバ嬢が呼んだヤクザ?などの妄想が膨らみ足が震えた。しかし、居留守を使えばのちにもっと恐ろしい事になると考え玄関の扉を開く。

覗き穴から見た時よりはっきりした風貌はより一層怖かった。がっしりとした大男。黒のスーツに手にはなぜか黒の革手袋。

殺されるっ!本能がそう感じた。

大男が口を開く。

『どういうつもりだ』

単純かつ的を射た質問。覚悟を決め、すべてを話した。電気が止まり、空き家から電気を盗んでいた事。しばらくは大丈夫と思っていた事。そしてもうしません!と謝罪。

頭を下げる。そして顔をあげると左頬に右ストレートが入る。吹っ飛び倒れこむが、胸ぐらを捕まれ無理矢理起こされた。すると大男から意外な一言が。

『これから電気がなくても大丈夫か?今月一杯なら使ってもいいぞ!』

一瞬、???となるが、もう関わりたくなくて、大丈夫です!と答えた。

意外に優しかった大男は去って行った。一人部屋に戻り改めて震えた。

過去にヤクザの事務所に連れていかれた経験もあるのだか、その時に集まっていたヤクザよりも大男は恐ろしかった。

漫画や小説、映画で指紋を残さないようにする革手袋は、現実世界での死をにおわせるモノだった。

最後まで読んでくれて有難う御座いました。

END

怖い話投稿:ホラーテラー ピリリィさん  

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