短編2
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幸子2

二人の警察官がその家のドアを開けた時の風景は無残なものだった

何せ、やつれた顔の中年女性が

白骨化した娘の体を、天井から吊し、クルクルと回していたのだから

この事件が明るみになったきっかけは幸子の父が警察で白状したこの何年にも渡る出来事

幸子の『母』は脳の重度の障害を患っていたのだ

結婚した時は普通だった幸子の母だが

結婚生活が進むにつれ悪化していった

本来なら育児など出来る能力の無い妻、だが幸子の父はどうしても子供が欲しかった

ゆえに障害を持つ妻と子供をもうける覚悟をした

娘の幸子は脳に障害を持つ妻とは反対に健康そのもの

夫はひとまず安心した

だが妻に育児を任せたのが失敗だった

ある日、幸子の父が会社から帰宅した時である、妻は『風呂』と称して幸子を天ぷら鍋の中に入れていたのだ

妻はそれから幸子が動かなくなったことを大変悲しんだ

だが何故動かなくなったのか本人には理解出来ていないようだった

怖さと娘の幸子を失った悲しみを受け入れられない幸子の父は

そのまま幸子の死体を家に置いておく事にした

会社から帰宅するたびに妻は、幸子を風呂に沈めたり、たわしで洗ったり、目玉を取り出して磨いてあげたり

育児『のようなもの』を行っていた

そして幸子の父は、帰る度に、幸子の死体の臭いを消す消臭剤を買っていったのだった

だが年月も過ぎ、幸子の原型が分からなくなった頃から、幸子の父も「このままでいること」に疑問や罪悪感を感じるようになり塞ぎ込むようにった

そして今日、とうとう警察に総てを告白しにいったのである

その二人の警察官が見つめる中、幸子の母の後ろでは骨になった幸子がクルクルと回っていた

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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