長編8
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エレベーターの怪 2

9階のボタンは私が押してあげた。女の子の怯える様子を見て私もなんだか怖くなってきましたが『大丈夫だよ』と肩に手を置いてなだめていました。

2…3…4…5…6

エレベーターの機械音だけが響いて当たり前の事なのになんだか気持ち悪い。

メーターを目で追っていました。

…7………8…9『ポーン』

女の子はビクッとしましたが『ほら、9階だよ』と言うと顔をあげお礼を言って部屋まで走って行きました。

そして扉は再び閉まる。

エレベーターが動かない。!?…軽くパニックになりかけたが私は自分の住む12階のボタンを押し忘れていただけでした。

ホッとして12のボタンを押しうなだれる。

?!

身体に違和感を感じました。

重力が…と思った瞬間『ポーン』扉が開く。

目の前に見えたのは殺人事件のあったあの部屋のドア。

静まりかえったフロア。廊下に8と書いてある。

開いた扉の外には各階に鏡がついている。

そこには怯えた私が映っていた。

幽霊を見た訳ではないのに全身総毛立ち冷や汗が出ていた。

そんな恐怖を感じていながらも『えー、なんで?12じゃないの?』と冷静に独り言を言って12を押していた。

部屋に帰ってからもしばらく落ち着かなかったが明日の仕事に差し支えると思いシャワーを浴びてすぐにベッドに潜り込んだ。

次の日、なんとなくエレベーターが怖かった私は非常階段を使い仕事に向かった。

私は、振付師としてダンススクールの講師もやっていましたし私個人もレッスンに通っていましたので当時のスケジュールは殺人的な物でした。

恐怖心よりも疲れが勝っていたのでしょうか。

押してもいない8階にエレベーターが止まったという不気味な体験は完全に忘れていました。

その日もクタクタになりやっとの思いでエレベーターに乗り込みましたがすんなり12階まで私を運んでくれました。

部屋に帰り『はっ…私エレベーター普通に乗ってきちゃった。』と思い出すが何事もなかったので、やっぱり昨日のは偶然だと思い込むようになりました。

それからまたいつもの毎日がしばらく続いていました。

その間、マンション住人から事件のあった部屋の両隣と上下階の住人は引っ越したとかそんな噂を聞いたりしていたが幽霊が出るとかエレベーターが8階で止まるとかそんな話は一切聞く事はなかった。

聞いた所でどうする事も出来なかっただろう。

この疲れた身体で非常階段を使い12階まで昇るなんて無理な事。

こうして私は毎日エレベーターを使っているがあれ以来何も起こらないのだから。

私の忙しい毎日は続き殺人事件から一年が経とうとしていました。

この頃の私は新人タレントの振付を担当する事になり収録後の深夜のレッスンが多く、マンションへ帰るのは朝の8時頃になる事が増えました。

通勤の人や主婦も多く深夜とは違い朝のマンションは活気がありました。

ある日の朝、クタクタに疲れた私はいつもの様にエレベーターに乗り込み12のボタンを押す。

この日は23時までオフだった為、夕方に友達と久々に会う約束をしていました。

私の仕事柄なかなか友達と会う事も出来なかったので少しでも時間が空けば友達と食事をしてお互いの近況や愚痴をこぼし心地好いひと時を過ごしていました。

久々の再会!充電して気合い入れて寝るぞ。と意気込んでいると『ポーン』

部屋に向かおうとするが何かおかしい。

廊下には8と書いてある。そしてその向こうに見えるドアが開いている。殺人事件の部屋です。

そして中には管理人と老夫婦が何やら会話をしているのが見えた。

部屋の中には家具もある。窓が開いているのかレースのカーテンがフワリと動くのも見えた。風に乗ってうっすら線香みたいな臭いがする。

明るい陽射しがこちらにまで届いていた。

明るい空間とは打って変わってこのフロアは静まり返っている。

例の事件後、住人が相次いで引っ越していったと言うのは本当だったようです。生活音が一切しない。

管理人と老夫婦の会話がボソボソと聞こえるだけ。

もしかして物件を見に来てるのかな?

あれは夫婦ではなく不動産屋とおばさんなのかな?

そうこう考えているうちにスーッと扉は閉まり何事もなかったかのように12階に到着した。

一年前と同じ体験をしたがあの時の様な恐怖心はなかった。

昼間で明るかったし管理人もいたからでしょうね。

でも押してもいない8階に止まったのは事実。

偶然とは思えなくなってきました。

私は仮眠を取り、夕方には友達と合流したわいもない会話を弾ませていた。

楽しい空間を壊したくなかったが私は一年前に起きた出来事と今朝の出来事を友達に聞いてもらう事にした。

案の定、場はシラけてしまったがそんな私を心配し、『深夜のエレベーターには乗らないでうちに泊まりにおいでよ。気兼ねしないで。幸い彼氏もいないし(笑)来る前には電話して。たいてい起きてるから!』と。

良かった。話して良かった。持つべき物は友達だ!と心底思いました。

今は深夜から朝にかけてのレッスンの為、友達に世話になる事はしばらくないだろう。

万が一、何かあったとしても友達がついている。

そんな安心感を得る事が出来ました。

『また時間が取れたら連絡するね。』

そう言って私のつかの間のオフは終了し、そのまま職場へ直行しました。

少し早めに到着したので予定の時間までストレッチをしてタレントさんが来るのを待っていた。

定刻になるが誰も来ない。収録長引いてるのかな?

そんなに気にもしないでストレッチを続けているとマネージャーさんが申し訳なさそうに頭を下げながら入ってきました。

担当していたタレントさんが体調不良の為、先程救急病院に運ばれたとの事でした。

とにかく今日の復帰は無理なので次の予定が決まり次第連絡するという事でした。

正直、この業界は『急遽』が付き物なんです。『もっと早く連絡ほしかったな…』とぼやきながらも仕方なく家路に向かう事になりました。

時間は0時30分。こんなに早く帰れるのは何ヶ月ぶり、いや何年ぶりだろう。

普段見られない深夜番組を見ようとかハゲたペディキュアを塗り直そうとか帰ってからやる事を想像しウキウキしながら(苦しんでいるタレントさんには悪いけど)歩いていました。この時間の六本木はまだまだ人がたくさんいてまさに夜はこれから!といった感じでした。

ハイなテンションでマンションに到着するとエレベーターは8階で止まっていました。

『えっ…』それを見た私は一気にテンションが下がりました。

8階って人住んでないんじゃないの?

いや、住んでる人はいるかもしれない。

朝見た人がもう住んでるのかもしれない。家具もあったし。

線香の臭いはおばあさんだし…と勝手に決め付けている私がいました。

そうだ。友達の家に泊めてもらおう。

私は携帯を取り出し友達に電話をかけてみた。

『お客様のおかけになった番号は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていない為、かかりません』

淡々とした機械的なガイダンスの声に何故か恐怖を覚えました。

その時、『ガチャッ』エレベーターが起動し下へ降りて来ています。

7…6…5…4…3…2…

私はその場で固まってしまい後ずさりする事がやっとでした。心臓がバクバクしているのが解ります。

私は降りてくるメーターをただジッと眺めていました。

『ポーン』

私は身体の力が抜けてしまった。エレベーターには誰も乗っていなかったから。

降りてくるエレベーターに女の幽霊が乗っていると勝手に妄想を膨らませいた自分に対して力が抜けたのだ。

『馬鹿馬鹿しい。』自分に言い聞かせた。

8階の住人が1階へ降りようと一度はエレベーターに乗るが忘れ物をして部屋に帰る。そーすれば空のエレベーターが降りてきてもおかしくはない。

そんな事だってある。

冷静を取り戻したが私の足は非常階段に向かっていた。

階段を昇るも3階までくるとさすがに疲れる。

『体力ないなぁ』

独り言を言って私は室内に入る事にした。

やっぱりエレベーターを使おう。

非常階段の隣にエレベーターはある。

室内に入りエレベーターのボタンを押すとすぐに扉は開いた。

3階で止まっていたのです。

まるで私がここから乗るのを分かっていて待っていたかのように…。

私は『大丈夫』と言ってエレベーターに乗り自宅のある12のボタンを押した。

相変わらず機械の音がうるさく感じる。

私は下を向き、何も考えないでエレベーターの音を聞いていた。

チカチカッ

一瞬だが照明が点滅した気がした。

それに対しても私は無反応でいた。

正直、反応するのが怖かったのです。恐怖を感じたくない気持ちでいっぱいだったのです。

『ポーン』

まず私の目に飛び込んだのは廊下に書かれた『8』の字でした。

私はドアが開ききる前に閉まるのボタンを連打していました。

『お願い。早く閉まって』

ボタンを叩くカチャカチャという音がフロアに響き渡る。

突き当たりには一年前の殺人事件の部屋のドアが見える。

見ないように目線をそらすとそこにはマンションに設置された鏡がある。

鏡の中の私は顔面蒼白でボタンを必死に叩いてる。

その私の後ろには長い髪を垂らした背の高い女性が俯いて事件のあった部屋を指指していた。

戦慄が走った。それが見えた瞬間、扉が閉まろうとする。

私は開くのボタンを押さずに腕を挟み扉を開けエレベーターから逃げ出した。

恐怖でどうしたらよいかわからない私は非常階段に飛び出し一目散に階段を降りたのでした。

階段を降りている時の記憶はほとんどありません。

ただ一つだけ覚えているのは逃げる私の顔に何度も髪の毛が当たってくる感触とパサッパサッという音だけです。

ちなみに私の髪型はベリーショートで顔に髪がかかる事はありませんでした。

私は泣きながら友達の家に向かい、何度もインターホンを鳴らしました。

中から寝ぼけ眼の友達が出てきて私の様子を見て家に上げてくれました。

友達の顔を見て安心し、私は放心状態のまま座り込んでしまいました。

そんな私に友達は

『事情は後で聞くからとにかくシャワー浴びて来て。ほらっ。』

私は友達に支えられながら脱衣所に向かい熱いシャワーを浴びたのでした。

前回からの続きを書く予定でしたが書くのを辞める事にしました。

今回で最終話になる予定でしたが最後の話を書いていると決まって電源が落ちてしまうのです。

ちなみに携帯は新しいのでバッテリーの寿命ではないと思います。

ショップで見てもらいましたが携帯に以上はないとの事。

何回も話を書く事にチャレンジしましたが(話をこまめにコピーするが電源が落ちる為消えてしまいます)最後の方に差し掛かるとまた電源が落ちてしまい続きを語る事が出来ないのです。

私としても完結した話を投稿したかったのですがあまりにその現象が続く為、今回を持って終了とさせていただく事になりました。

読んで下さった方(あまりいないと思いますが)にも

完結しないおかしな話になってしまった事をお詫び申し上げます。

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