短編2
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駅のホーム

駅のホームのベンチに座っていると、向こうのホームからこちらに向かって、手をふる女の姿が見えた。

(またあの女だ…)

最近良く見掛ける女だ。

何故か俺に向かって手を振ってくるのだ。

女に全く見覚えがない。

飲み屋の女でもなければ、昔の同級生でもないだろう。

(何故俺に手を振る?)

俺は、女に近づくのが怖かった…

得体の知れない恐怖が、女に近づくなと俺に忠告している。

しかし今日は違った。恐怖より好奇心の方が勝った。

人通りも多い昼間だという事もあるだろう。

とにかく、俺は女の所へ行き、俺に手を振る理由を聞き出す事にした。

向かいのホームに行くと、女はこちらを向いていた。

やはり俺に手を振っていたようだ。

俺は女に近づいて行ったのだが、近づくにつれ好奇心は再び恐怖に変わっていった…

女は、この世の者とは思えない青白い顔をしていたのだ…

そして、手を振っていたのではなく、俺を手招いていたのだ…

俺は金縛りにあったように、身動きが出来なくなった。

すると今度は、女の方から俺に近づいてきた…

そして黒く窪んだ目を俺に向け、低い声で話し出した…

「やっと来てくれた。全く…何ヵ月待たせるのよ!ふぅ、やっと交代できるわ。あっ…あなた気づいてないみたいだけど、あなたも半年くらい前に自殺してるのよ。向こうのホームでね。

自殺した人は、順番にこのホームに呼ばないといけないらしいの…次はあなたの番。

ほら、あのおじさん。あの人を呼んでね。

じゃあ、お先に…頑張ってね。」

俺は呆然として話を聞いていた。

そして、女が消えて行くと、向かいのホームのベンチに座るおじさんに向かって、大きく手を上げた…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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