短編2
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少女とビッグフット③

彼女は「寒い」という感情を何とかジェスチャーで伝えようとした。

タングはまるで分かったかのように外へ出て行くと、その夜には冬用のジャケットとズボンを持って帰ってきた。

タングは思っている以上に知能が発達しているみたいだった。

同じ時期(10月初旬)に、

「トラクターを運転していたところ、怪物に襲われて着ているものを奪われた」と証言している男性が存在し、

彼女の話と完璧に一致していることが後々明らかとなった。

(中略)

春になって、やっとオクサナは逃げ出すことに成功する。

この時期、二人の間には強い信頼関係があったが、

それでもタングは朝日を見にオクサナを外へ連れ出したときも彼女の側を決して離れようとはしなかった。

ある日のこと、あたりに漂う空気に何か危険を察知したタングは偵察に向かうためか、

いつものように大きな石で入り口を塞いで出て行った。

ところが、オクサナは石にわずかな隙間が出来ているのを見つけた。

少女にはその石をどけて外へ出る作業は大変きついものだったが何とか脱出に成功し、止まることなく森の中を走り続けた。

森の中で人を発見した時、オクサナは初めて助かったと感じた。

「ご両親が彼女を連れて私の病院へやってきたのです。

彼女は精神錯乱状態にあり、私が何を聞いても『ビッグフットと一年間結婚生活をおくっていたの』としか答えなかった。

どうしても家の雰囲気に慣れる事ができず、日中でも外へ出るのを怖がった。

それに暗闇を極度に恐れていた。さらに食事をとることすらできない状態でした。」

と、ニコライ医師は語る。

それでもオクサナは精神病院で少しずつ回復し始めた。

医師たちは「精神異常者の話した事」として、彼女が語ったことをカルテに書きとめた。

やがて自分の言うことを誰も信用していないと悟った彼女はひどく落胆し、

両親が見舞いに訪れても何の反応も示さず、食べることや飲むこともしなくなってしまった。

ところが突然、ある日を境に彼女は急速に回復し始めた。

食べたり、飲んだりすることを始めただけでなく、元気に喋るようになり、笑うこともできるようになった。

続く

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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