中編4
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ある所にA国という王国がありました。A国には王様がいました。王様は大変国民思いで、国民からは大変愛されていました。

ある日、王様はあるアイデアを思い付きました。そのアイデアを実行させるにはかなりのお金が必要でしたので、王様はその日を境に暴君へと変わってしまいました。

国民から集める月々のお金は2倍になり3倍になり…。国民の不満はその度に2倍、3倍になりました。

しかし、国民は王様がこれだけ変わったのは何か訳があるからだと思い日々の徴収にも耐えていました。

ある日、王様のアイデアを実行できるだけのお金が集まりましたので、王様はA国一番の技術者を宮殿に呼んで実行させました。

技術者は宮殿内で、王様の話を聞いた時に王様はとうとう狂ってしまわれたのだと思いましたが、王様から、『従わなければ命は無いと思え!』と言われたので、渋々王様から言われたアイデアを実行にうつしました。

その作業は困難を極め、予定よりもお金がたくさんかかりました。その度に王様は国民からお金を徴収しました。国民の不満はどんどんと高まりました。

ある日、王様のアイデアが完成する日がやってきました。王様は王国中にその事を発表し祭典を催しました。

祭典の当日、町の一番中心部でそれは行われました。町の広場の真ん中に設置されたそれの布を取った時、国民は自分の目を疑いました。

それは銀色に光り輝く1メートル四方の箱でした。国民はただの箱を作る為にこれだけのお金を取られたのかと怒りましたが、一人の国民が、その箱に小指の先ぐらいのスイッチがあるのに気付きました。

国民達はそのスイッチを押すかどうか相談しましたが、結局、押す事になりました。ただ、押すのは奴隷に押させました。

国民が、遠巻きで見守る中、奴隷がそのスイッチを押すと、箱の中から『ギギギギギッ!』という機械音が響き箱の横がスーッと開き、ロボットの様な機械のアームが出てきました。

奴隷は怖くなって下がって見ていると、そのアームは面倒臭そうに押されたスイッチをつまんで元に戻しました。そしてまた、『ギギギギギッ!』という音と共に箱に戻っていきました。

奴隷は何度かスイッチを押しましたが、何度やっても同じように、面倒臭そうにスイッチを戻してまた元の箱に戻るだけでした。

国民の怒りは頂点に達しました。今まで苦労したのはこんな物を作る為だったのかと…。

祭典はすぐに暴動へと変わりました。その場にいた、王様と技術者、王様を守る兵士共々全て殺してしまいました。

新しい王様は、その箱を前の王様の悪政だと思い取り壊そうとしました。力自慢の男達が寄ってたかってハンマーなどで叩き壊そうとしましたが、その箱は傷一つ付きませんでした。

たまに例のスイッチに体やハンマーが当たりましたがその度にあの『ギギギギギッ!』という音と共にアームが出てきて面倒臭そうにスイッチを戻すだけでした。

ハンマーでは無理だという事でダイナマイトを使い爆破させようと試みましたが、その箱はびくともしませんでした。

新しい王様は箱を壊す事を諦め自分は国政に尽くす事にしました。

箱は子ども達の玩具になりました。スイッチを押すとその度に例の音が響いて面倒臭そうにスイッチを戻して、また箱にかえっていく…。という行為が、何千回、何万回と繰り返し行われました。

何年も経ちましたが箱はサビ一つ着きません。スイッチが押される回数も徐々に減りましたが、ふと思った時に国民はスイッチを押しました。その度に前の王様を思い出しました。

ある日、大きな戦争が起こりました。核を発射するぐらいの大きな戦争でした。その王国にも核が落ち、国民は全て死んでしまいました。しかし、例の箱には傷一つ付きませんでした。

焼け野原に銀色の箱だけがポツンと残りました。もうスイッチを押す人は誰もいません…。どこからか木片が風で飛んできてスイッチに当たりましたが、また例の音が聞こえてスイッチを元に戻すだけでした。

いつしか何年も月日は流れました。

突然、箱が例の『ギギギギギッ!』という音をたてて動き出しました。誰もスイッチは押していません。

すると、誰が何としようともびくともしなかった箱の上部が開いて、一つのオルゴールが出てきました。

その音色は、はかなく、悲しく、誰もいない広場に響き渡りました。

いくつかの曲が流れた後、箱の上部は『ギギギギギッ!』という音と共に閉じて、広場は本当の静寂に包まれました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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