短編2
  • 表示切替
  • 使い方

宴会

これは霊感のある母と、母の妹が実際に体験した話です。

私が中学生の時、当時60歳くらいだった叔父が亡くなりました。

叔母は叔父が亡くなって絶望したように、葬式中ずっと泣いていました。

葬式の後、とりあえず叔母を先に休ませてあげようということで、私の母と母の妹が遺体を一夜見張ることになりました。

葬式場での一泊なんて、当時の私には何か起こりそうで少し怖いなと思っていました。

棺桶の置いてある祭壇から少し離れたところに畳で作られた別室があり、二人はそこでお茶を飲みながら叔父との昔話をしていたそうです。

時刻は深夜2時をすぎていたらしいのですが、しばらくすると祭壇のある方が妙に賑やかになってきたらしく、こんな夜中に誰か来たかな?と母が部屋の襖を少し開けて祭壇の方の様子を伺うと、祭壇の周りに5、6人の男女が何やら楽しそうにお酒をビンのまま飲んだり騒いだりしていたそうです。

まるで夜の花見をしながら宴会でもやってるような、そんな雰囲気だったと母は言っていました。

母の妹も様子を伺うと、「あれ…お父さん達じゃない?真ん中にいるの叔父さんだよね」

確かによく見ると数年前に亡くなった母の父や、20年近く前に亡くなった私のひいお爺さんとひいお婆さんが、その男女の輪の中にいたらしく、しかもその真ん中には主役のように亡くなったばかりの叔父も楽しそうにお酒を飲んでいたのです。

母も母の妹も不思議と怖いという気持ちはなく、ただ賑やかで楽しそうだなと思い邪魔をしないように静かに襖を閉めてそっとしておいたそうです。

癌で入院していた叔父は大好きなお酒と煙草を禁じらて最後まで味わえずにいたので、迎えに来た兄弟や親達と宴会が出来て嬉しかっただろうなと私は思いました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ