中編3
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娘が見たもの

あまり怖くないかもですが…

僕たちが家族3人で山○県○関の旅館に泊まりに行ったときの話です。

僕も嫁も霊感とかは強くはないのですが、その部屋に入ったときから少し嫌な感じはしていました。

と言うのも、今思えばかなり不自然なことではあるのですが…

宿泊する301号室の中にある、1つの部屋のドアに“立入禁止”の紙が貼ってあったんです。

少々不気味にも感じたのですが、何かの物置にしてるんだろうとか軽く考えるようにしました。

その部屋を使わなくても十分なスペースもあったし。

旅行に来てるというテンションの高さや、どうせ1泊だけだしという気持ちもあり、普通に何事もなく過ごせました。

しかし夜が更けてくると2歳の娘だけは普通じゃなくなってきます。

普通じゃないと言っても狂うとかではなく、ずっと笑顔で、最近覚えたての「バイバイ」をずっとやってるんです。

あのドアに向かって。

家でも覚えたてでよく「バイバイ」だけやっているし、ドアに向かってやっているのは偶然だろ、と僕と嫁は苦笑いしながら話してました。

と、そんなことを考えているともう一つの違和感があることに気付いた。

すぐわかった。

そのドアのちょうど上にある時計が4時を指したままずっと止まっているんです。

自分達が来る前から止まっていたのか、それとも来てから止まったのかはわかりません。

しかし、4時ピッタリというところが不気味すぎて、たたでさえビビり−の僕は行動をおこしました。

「あの〜部屋の時計が止まっているんで、直してもらっていいですか?」

すぐに係の人が来て直してくれて時計は元に戻りました。

僕の中では立入禁止のことより時計のことのほうが怖さの“ツボ”に入ってしまってテンパっていたので聞かなかったのですが、今となっては“あの部屋”のことも聞いておけばよかったと思います。

深夜になり眠りにつきます。

娘の「バイバイ」もいつの間にかおさまり、時計も直り、昼間の遊んだ疲れもあったのでよく眠れそうでした。

でも眠れません。

眠いのに眠れません。

妻も同じでした。

2人で

「寝れないな〜(笑)」

とか色々話していましたが、怖がりの2人は絶対に“あの部屋”のことには触れないようにしていました。

どれぐらいの時間が経ったかわかりません。

ただ、2人とも安眠はできていないことは確実で、ときたま

「まだ寝れてない?」

「うん。」

みたいな会話をしてました。

そんな中、僕は気付きました。

また時計が4時で止まってる。

2、3分経った。

間違いない、止まってる。

(きっとあの時計は4時になると止まってしまうようになってるんだ。そういう故障の仕方なんだ。)

ずっと自分に言い聞かせていました。

でも携帯で時間だけは絶対に確かめないようにしました。

まだ4時になってなかったら怖かったから。

妻もそのことには気付いていたらしく、その夜は気絶するようにいつの間にか眠っていました。

次の日の朝…

宿舎をチェックアウト2時間前に出るのは初めてのことです。

眠れてないはずだけど、機敏な動きで身仕度をします。

早く帰りたいという気持ちだけしかありません。

そして朝食も食べず、8時すぎには部屋を出ようとしました。

すると妻に抱き抱えられていた娘が“あの部屋”に向かって

「バイバーイ、バイバーイ」

と尋常じゃないぐらい手を振りまくっていました。

かなり笑顔です。

そこで僕は何を思ったか、あの部屋の中を見てみようと思いました。

眠れなくて機嫌が悪かったことや、どうせすぐに帰ることができるということで少しだけ強気でした。

妻の制止を押し切ってドアを開けてみると…

そこには6畳ほどの部屋の奥に赤いギターが置いてあるだけの光景でした。

そして妻に抱かれていた娘は次の瞬間、廊下につながるドアに向かって「バイバイ」をしていました。

それから僕らは記憶がないぐらいの勢いで旅館を出ました。

オチが微妙ですいません。

でも本当のことです。

今となっては朝になって“時計”を見なかったことが幸運と思います。

普段通り動いていても、止まっていても、どちらにしろパニックになっていたと思うから。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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