短編2
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元カノからの手紙

私の兄の話です。

私の兄弟は、5人います。

私が小学校の時に、一軒家を購入しましたが、部屋が足りず兄は今まで借りていた借家を、継続して一人で住むことになりました。

そして、月日は流れ・・・

兄が高校を卒業し、調理師になって働いている時の事です。

飲食店は、結構夜も遅くなったりしますが、兄も結構忙しく働いていたようで、その時付き合っていた彼女も寂しい思いをしていたようです。

そんな忙しい中、いつものように兄が職場から帰宅する為、バイクで帰ったのですが・・・

次の日・・・

職場の同僚に

「昨日彼女と会えたか?」

と聞かれ、兄はポカンとしたそうです。

昨日は寄り道もせず帰宅したことを同僚に伝えると、

「昨日お前のバイクの後を走って追いかけてたけど・・・?おかしいな~」

と言われたのです。

兄は、彼女からの連絡も無かったので余計に気になり、その後聞いてみると、

職場の前で待っていたが、兄が気づかなかった。と・・・

そんな事が、ここから数回起こり、終電が無くなる時間も計算して、兄の家に押しかけようとしたり、(もちろんバイクで帰してます。

ちなみに彼女の家は、兄の家からバイクで1時間以上かかります。)

兄も疲れていたので、とても迷惑だったそうです。

そんなことが積み重なり、兄は別れを告げます。

もちろん彼女は拒否していましたが、兄が体を壊して仕事にならなくなるからと、半ば強引に切ったのです。

それから数日後・・・

兄の家に手紙が届きます。別れた彼女からでした。

内容は、寂しいとか、別れたくないとか、たいした内容ではなかったそうです。が・・・

一つだけ、兄の背筋が凍りついた事がありました。

それは、手紙には切手が無かったんです。

彼女は、兄の家に行くのに、電車以外の交通手段はありませんでした。

共通の知り合いがいたことから、元カノが歩いて手紙を持って来たという話を

兄が耳にするまでにはそう時間はかからなかったようです。

怖い話投稿:ホラーテラー くくるさん  

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