昔の職場での話(心霊ではありませんが…)
50代の独身パート女性、Mさんから相談を受けた。
『実は…営業のKさんとお付合をしているが、彼が嫉妬深くて困っている。』
正直、驚いた。
Kさんは30代の今風な方だったからだ。
この相談は一年にも及んだが、『誰にも話さないでほしい。』というMさんとの約束もあり、温かく見守っていた。
些細な喧嘩はあったものの、Kさんとの事を話すMさんは輝いていた。
二人が愛を育んでいる様子から、幸せになって欲しいと願っていた。
『私は、バスルームから出てくるKさんのタオルの巻き方が可愛くて、とても好きなの』
そう言って微笑むMさんの顔を今でも鮮明に覚えている。
そんなある日、上司からの呼出し。
『私生活の事には口を出したくはないのだが…』
そう切出された話は、余りにも衝撃的なものだった。
【彼女は毎晩、夜の街にくりだし売春まがいの事をしている。どんなに注意をしても聞く耳を持ってくれない。彼女を助けてあげてほしい。】
親子ほどに歳の離れた私の事を、涙ながらに相談した事を上司は重く受止めたようだった。
そう、あのMさんからの相談を。
頭の中が真っ白になった。
バスタオルを巻く彼も…
夜の街で遊んでいる私も…
全てMさんの妄想でした。
10年という歳月が流れても、忘れる事の出来ない私の恐怖体験です。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話