怖い話なのかどうかはわかりませんが、私と妹に起こった不思議な話です。
しかもムダに長いので、暇つぶし程度に読んでください。
私が小学生だった頃の話。
当時私が住んでいた家はそんなに広くなく、妹と2人部屋でした。
私の机の後ろにはタンスがあり、そのタンスの上にはドレスを着た可愛いらしい人形が飾ってありました。
ある日ふとその人形を見ると、私の記憶とは違う方向に顔が向いています。たしか、人形は正面を向いていたはずなのですが、少し右側を向いているのです。
(あれ?こっち側向いてたっけ?)
と思ったのですが、この時はあまり深くは考えず人形の顔の向きを正面に戻しました。
次の日、学校から帰って部屋に行くと、昨日のこともあり、あの人形の方に目がいきました。
そしてそれを見た瞬間、怖くなりました。
人形の顔が、右側を向いていたのです。
昨日、確かに自分が正面に戻したはずなのに!
ですが、ここで私はある考えに行き着きます。
(妹のイタズラかもしれない…)
妹はイタズラ好きで、くだらないイタズラをしかけては私や親によく叱られていました。
私より早く学校から帰ってくる妹になら、こんなイタズラをしかけるチャンスはいくらでもあります。
そもそも昨日人形の顔が右側に向いていたのも、妹がしかけたイタズラだったのかも…。
そう思った私は、居間でくつろいでいる妹を呼び問い詰めました。
人形を見ながら話を聞いていた妹は私に目線を戻すと悪びれもなく
「姉ちゃんが怖がるかと思って」
と言いました。
私は妹のその態度が頭にきて妹の頭を叩き、
「くだらないことばっかりしないでよ!!次はお父さんに言うからね!!!!」
と怒鳴りつけました。
妹は不服そうな顔をしていましたが、何も言わず居間に戻っていきました。
(こんなイタズラに引っかかって損した…)
そんなことを思いながら、私は人形の顔をまた正面に戻しました。
それから何日かは人形を気にかけていたのですが、特に異変もなかったので人形を意識的に見ることはしなくなりました。
ですが、妹を叱ってから2週間程過ぎた頃でしょうか。
ふとタンスの上の人形を見ると、顔が真後ろを向いていました。
さすがにイタズラと言えども、顔だけ真後ろを向いた人形なんて気味が悪いものです。
(あれだけ言ったのに…!!!)
頭に血が上った私は妹を大声で呼び、妹が部屋にくるなり頭を叩いて怒鳴りました。
「くだらないことするなって言ったよね!!!?」
すると妹は、私が指差した先にある人形を見て
「もうやだー!!!!!」
と大声で泣き出しました。
もう嫌なのはこっちだ!!と思いながら、もう一発叩いてやろうとしたときに、妹の泣き声を聞いた母親が部屋まで来ました。
泣きながら妹は母親に飛びつき、
「あの人形捨てよう!?怖い!!!」
と言うのです。
怖い?
私は妹が何を言っているのかわかりませんでした。嫌な思いをしたのは私で、そう仕向けたのは妹のはずです。
なぜ妹が怖がる必要があるのか?
そう思って妹に尋ねるのですが、妹は母親にしがみついて泣くばかり。とりあえず母親が妹を居間に連れて行き、落ち着くまで待ちました。
そして、気の済むまで泣いたあと妹はポツリと
「今日は部屋に行ってない…」
と言いました。
母親に本当なのかと聞いてみると、いつもより遅くに学校から帰ってきた妹は、楽しみにしていたテレビを見るためにずっと居間にいたというのです。
確かに、ランドセルも居間に置いたままになっていました。
ですが、たまたま私が今日気づいたというだけで、前からイタズラをしかけていたのかもしれません。
私がそのことを言うと、
「私じゃない!!もう触りたくない!!!!」
とまた泣き始めました。
妹があまりにも激しく泣くので、見かねた母親が
「もういいでしょう。許してあげなさい」
と言い、私も妹の泣き声にいい加減うんざりしていたのでそれ以上追求するのはやめました。
結局、この時のことはうやむやになりましたが、人形だけはいつのまにか処分されていました。
人形が突然なくなったときには(あれ?)と不思議だったのですが、だいぶ古いものでしたし、近々引っ越す予定もあったのでいらないものと判断して処分したのだと思い込んでいました。
妹が怖いと言ったのは何故だったのか。
「もう触りたくない」という言葉の意味。
なぜ人形が処分されたのか。
それを知ったのは最近になってからでした。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話