短編1
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川辺の女の子

あるカップルが夜中に川辺を歩いていた。

夜風は少し寒いくらいだが、手から伝わる温もりがそれを和らげる。

二人の間に言葉はない。

ただ、隣に居てくれるのが嬉しいから。

遠くから聞こえる貨物列車の音がやけに大きく聞こえる。

がたんごとんとリズム良く貨物列車が奏でる音に、何かが割り込んできた。

その音は次第に大きくはっきりと聞こえてくる。

ばしゃばしゃと水を弾く音。

こんな時間に誰が……?

男性は歩みを止めて闇に沈む川を見た。

その闇を切り裂いて出てきたのは、川上から流れてくる女の子だ。

男性は咄嗟に女の子を助けに行こうとする。

それを食い止めたのは繋いだ女性の手。

「なんで止めるっ。女の子が流されてっ……」

男性は言葉を途中で切った。

女性の顔から血の気が引いて、蒼白になっていたからだ。

女性の手からは、さっきまでの温もりが消え失せて、小刻みに震えている。

「どう、した……?」

男性の質問に女性は川から……女の子から目を反らさずに『よく、見て』とだけ告げた。

男性は言われた通りに川に視線を戻す。

その男性の目に映ったもの、それは……。

ばしゃばしゃと水を弾き、げらげら笑いながらこちらを睨む女の子の姿だった。

怖い話投稿:ホラーテラー ピカチュウ仮面さん  

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