中編3
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人形(続き)

10月29日に「人形」を投稿した者です。

前回はうっかり話が続く旨を一言添えるのを忘れていました、申し訳ございません。

遅くなりましたが、続きを投稿させて頂きます。

今年に入って妹が一人暮らしを始めることが決まり、私も引っ越しの荷造りを手伝っていました。

妹の部屋にある家具をどうするかなどを話をしていたときに、ふと妹が言いました。

「姉ちゃん、前の家に住んでた頃、このタンスの上にあった人形覚えてる?」

言われて私はすぐに、あの人形のことを思い出しました。

「言われて思い出したよ。あの時人形が後ろ向いてるの見て、かなり気持ち悪かったんだから」

懐かしさ混じりに苦笑いでそう言うと、妹はちょっと複雑そうに笑いながら言いました。

「そっかぁ〜、やっぱり姉ちゃんじゃなかったんだね」

私じゃなかった??

妹の言葉の意味がわからず、「何が?」と聞き返しました。

すると、妹はあの時の出来事について話し出しました。

妹が言うには、まず最初に私が妹を怒った時、妹は人形に触れたことすらなかったと。

私がイライラして、ちょっとした勘違いを理由に八つ当たりをしているものだと思っていたそうです。

自分がやったんじゃないと言っても、どうせ怒られるに決まってる。

そう考えた妹は自分がやったことにして、事を済ませたのだそうです。

ですが、問題はここから。

次の日妹が学校から帰ってあの人形を見ると、顔が右側に向いていました。(前の日に私が正面に戻したはずなのですが)

妹はその時、また変な言いがかりで怒られるのも嫌だからと顔の向きを正面に戻したそうです。

しかし、また次の日人形を見ると、また顔が右側を向いていたと言うのです。

妹は瞬間的に、私が嫌がらせで人形の顔を変えたのだと思ったのだそうです。

[アンタはこんなくだらないイタズラしたんだよ]

というイヤミを込めてこんなことをしているのだと。

妹はイラッときたらしいのですが、これに文句をつけてケンカをしたところで負けは目に見えてると考え、何も言わずに人形の顔を正面に戻したそうです。

それから妹は学校から帰ると毎日、(姉ちゃんもしつこいなぁ…!!)と思いながら人形の顔の向きを正面に戻していたと言います。

つまり、妹を怒った次の日からしばらく人形に何の異変もなかったのは、先に帰ってきた妹が人形の顔を正面に戻していたからだったらしく。

私は妹がイタズラをやめたもの、妹は私が嫌がらせをしているものだと思い込み、何事もなく日々を過ごしていたようです。

ですがあの日、私が人形のことで再び妹を怒ったとき、あまりの私の剣幕に妹は自分の思い違いに気づき、あの人形に恐怖を覚えたそうです。

なぜ人形の顔が動いていたのか原因もわからず、しかもそれまで何も気にせずその人形に触っていたことなどでパニックになり、あんなに大泣きしてしまったのだと言っていました。

それから数日間妹は人形が気になり、たびたび目をやっていたらしいのですが、人形の顔は正面を向いたままだったそうです。

なので、やっぱり私が嫌がらせをしてたんじゃないかと疑っていたらしいのです。

それでもなんとなく気味悪く感じた妹が近所に住む祖母に人形のことを相談したところ、次の日には人形がなくなっていた、ということでした。

妹が話してくれたことが真実かどうかは私にはわかりません。

ですがお互いに成長した今、妹がそんなことで嘘をつく必要などないことはわかっています。

結局、人形の顔が動いていた原因は今でも謎のままです。

なんだか拍子抜けな終わり方ですみません。

長文・乱文失礼いたしました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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