中編7
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一家心中の空き家

約10年振りに高校時代の友達と再会し、2人で思い返した出来事です。

ものすごく長いので、ヒマな方だけ読んで下さい。

当時、私達2人は高2から高3にかけての春休み中でした。

友達のY子が高校の生徒会長をしていたのもあり、門限に厳しかった私の親も『Y子なら信頼あるし・・・』と言った感じで、Y子の家に泊まりに出る事だけは許してくれていました。

その夜も『Y子の家に泊まりに行く』と、自宅を後にしました。

Y子と合流し、当時よくY子と遊んでいた年上のお兄さんを呼び出し、3人でドライブをしていた時の事でした。

兄『北の山の方に、一家心中した家あんの知ってる?』

Y・私『クラスの男子が言ってた〜!!場所は詳しく知らんけど、お父さんが借金でおかしくなって、家族全員をお風呂場で殺したヤツやろ〜?』

兄『(楽しそうに)連れてったげよか?場所知ってんねん』

私達2人は、え゛〜〜〜などと言いつつも、怖いもの見たさで胸が高鳴っていました。

ジャ○ンで懐中電灯を買い、車を走らせる事30分。

いろんな怪談話を聞きながらの到着でした。

そこには、想像していたのとはぜんぜん違う、フツーの家が建っていました。

山の麓にある坂道で、カーブにさしかかる所。

道路側から脇の階段を上がって入る家が建ち並ぶ中の一軒でした。

車を道路に停め、近所迷惑にならないように、イソイソと脇の階段を上がりました。

古い家でもなければ、木造でもないので、霊的な怖さはありませんでした。

どっちかと言うと、近所迷惑などで通報されたらどうしよぅ・・・と言ったドキドキ感の方があったように思います。

お兄さんは以前にも来た事があるようで、玄関をスルーし、家の横手にある勝手口に回り、私達も静かにその後をくっついて行く感じでした。

兄『ここ、カギ壊されてるから入れんねん』

私『やっば〜(笑)入るしかないか(笑)』

Y子『やばいな(笑)でも行こか』

お兄さんを先頭に私達は中に足を踏み入れました。

後尾にいたY子が静かにドアを閉め、3人で歩き始めました。

私達が入った場所はキッチン横のゴミなどを出す勝手口?みたいな所で、

キッチンの先にリビングがあり、そこにはテーブルやイス、テレビはなかったものの、テレビ台や棚がそのままの状態で残されていました。

さすがに、生活した形跡が残されているのを見ると、だんだん怖くなり、

私の服(ひじあたり)を掴んでいるY子の手にも力が入っているのを感じました。

リビングとつながるように6畳ほどの和室があり、リビングから右側に廊下へ抜けるドアがありました。

兄『あのドア開けて、左に行ったら襖があるけど、そこはその和室やし、奥が玄関な!

んで、右行ったら階段と、トイレと、問題の・・・(楽しそうに)風呂があるわ♪』

Y・私『・・・』

兄『大丈夫やって!』

そういうと、お兄さんは間髪いれずにリビングのドアを開けました。

廊下側から顔をひょいっと出し、

兄『なっ!大丈夫やからおいで』

と笑顔で手招き。

私達2人はしぶしぶ廊下側に歩いていきました。

廊下に出ると、お兄さんの言うとおり、

左側に玄関があり、右ななめ前に階段、階段の横あたりにトイレらしきドア。

その向かい(キッチンの裏あたり)に脱衣所とお風呂らしき場所が・・・。

(うわ〜・・・キッチン側から来たけど、お風呂場のすぐ近くやったんゃぁ・・・・こわ・・・)

などと考えると動けなくなりました。

その時です。

ガッチャ・・・。

キッチンの、私達3人が入ってきた勝手口の方から、カギを回すような音が聞こえたのでした。

私は硬直ぎみでY子を見ると、Y子も手に力を入れこっちを見て動けなくなっています。

先ほどまでニコニコしていたお兄さんも、声を殺し、真面目な顔つきになっていました。

1〜2分ほど静寂が続いたでしょうか。

怖さのあまり、長く感じたのかもしれませんが。

兄『俺、見てくるわ・・・待っときや。動いたらアカンで。』

意を決したように、お兄さんは私達に小声で言うと、ゆっくりキッチン側に向かいました。

私達は何もできず、その場に固まるばかりでした。

・・・

兄『あかん!開かへん!!』

ガッ・・・ガッ・・・(お兄さんがドアかカギ?を蹴っている音だと思います)

兄『ドア開けられへんぞー!!』

兄『はぁ!何やねん!どうしたらえぇねん!!』

ガッ・・・ガッ・・・

私達から見ると大人なお兄さんも、さすがに冷静さを忘れパニクっているのを感じました。

私も私で、

(もぅ出れへんのか?

誰か助けに来ーへんのか?

ここで死ぬんか?)

いろんな事が頭をよぎりました。Y子も同じ事を考えてたみたいです。

どれくらい時間が経ったでしょうか。

お兄さんが静かになった頃です。

風呂場とは反対の玄関側・・・

Y子の背後から視線を感じました。

恐怖のあまり、もちろん凝視は出来ず、ただただY子の顔を見るしか出来ませんでした。

Y子も私の恐怖を察したらしく、こちらを見て歯を食いしばっていました。

すると、その気配がスーッと動き出し、金縛り状態で見つめ合う私達の横を、音もなく通り過ぎ、風呂場の方へ向かいました。

その直後でした。

『う゛がぁぁぁーーーーーーーー!!』

この世のものとは思えない、悲しく狂ったような叫び声が風呂場から聞こえたのでした。

私達は『ひぃっ』『うぅっ』みたいに漏れた声を、震え始めた身体を、押さえるのに必死でした。

バンッ!!ダダダッ!!

ものすごい足音とともに

まさに今、私の後ろ。

風呂場で声をあげていたであろうソレが、小刻みに震える私達の真横に来ているのでした。

私は、できるだけ視界に入らないように・・・Y子の首から胸のあたりを見続けている事しかできませんでした。

Y子、私、ソレ。

手の届く範囲で、それぞれの息づかいだけが耳に焼き付く感じがしました。

・・・

どれくらいその状況が続いたでしょうか・・・。

・・・

すでに限界でした。

・・・

私(殺される・・・)

Y子もそう感じたでしょう。

人は死を意識した瞬間、冷静に?いや、強く出られる?もののようで、私はなんだか急に身体の震えが止まり、恐怖や感情すらなくなっていました。

今、思うと抜け殻のような、もぅ何もかもどーでもいい感じですかね。こわすぎるけど。

私『Y子。もぅ行こ。帰ろ。』

淡々と私は、そんな何の根拠もない意味不明な言葉を発していました。

Y子は相変わらず動けない様子で、もちろん真横にソレもいました。

Y子の手を外し、右手に持っていた懐中電灯を足下に置き、私は両手をY子の肩に乗せると、睨むようにソレに目をやりました。

ソレは40〜50代ぐらいの血塗れの男でした。

私と男の顔の距離は20センチくらいだったでしょうか。

男は目をありえないほど見開き、大きく肩を震わせ、私達を凝視していました。

男『・・・れの・・で・・・』

男が何かを発しました。

私『何よ!!』

強気になっている私は、男に叫んでいました。

男『俺の・・せいで・・・』

男『救え・・なかっ・・た・・・』

男『俺のせいで・・・。救えなかった・・・。』

男『君たちは・・・生きているのか・・・。

・・・まだ・・・生きれているのか・・・。』

男『よ・か・・った・・・』

そう言うと、男は私達の前から姿を消した。と、同時に私は腰が抜けてその場に座りこんでしまいました。

次にY子が冷静に『○○(私の名前)!早く出よう!お兄さんも助けな!!』と言い出しました。

ハッと我にかえった私をひっぱり、キッチンの方へ連れていってくれました。

肝心のお兄さんはと言うと、、、

流しの前に座りこみスヤスヤと眠っていたのでした。

とりあえず事情は後からとお兄さんを起こし、ドアに手をやると、カギはやはり壊れたままの状態で、入ってきた時と変わりなく開け閉めが出来たのでした。

車に乗り込み、パニクりながらも私達はお兄さんに全て話しました。

バカにされるかと思いましたが、お兄さんは微笑みながら

兄『・・・ほんまに父親が犯人やったと思う?』

とだけ答え、

おもしろ半分で私達を連れてきたこと、私達に怖い思いをさせたこと、自分が途中から意識がなかったことを謝りながら、

無事にY子の家まで送り届けてくれたのでした。。。

その話を約10年振りに会ったY子としていて、ふと気になった事が2つあります。

私達2人ともが、お兄さんの名前を思い出せないんです。

どこでどう知り合ったのかも思い出せません。

覚えているのは、4つ年上で車に乗っていた事。

もうひとつは、一家心中の真相は、父親が家族を殺したのではないんじゃないか?という事です。

長く、読みにくい文章で、申し訳ありませんでした。

来週あたりY子と線香をあげに行こうと思います。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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