短編2
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山童5

お待たせ致しました。バッチリ寝たんで大丈夫ッす。

弟が私の腕に噛みついた時、お坊さん達が帰って来ました。陰陽師っぽい人は慌てて弟に近寄り、

「エン!!オンアボキャア…」

字はわかりませんがお経のようなものを怒鳴りながら数珠をじゃらじゃらとさせて弟の回りを周っていました。

徐々に暴れていた弟は大人しくなり、白目を剥いて倒れました。弟が完全に落ち着いた(?)あと私達は車に乗せられ2時間ほどかかってようやくお寺らしき所に着きました。

お坊さんに案内され私は一人別の部屋に残されるようで、私は訳が分からないのと弟が心配なのと心細いのとで悶々としながら待ちました。

時折弟のものと思われる叫び声というか雄叫びのようなものが聞こえ、私はやりきれない気持ちになり、いっそ部屋から出ようかと思っていると、あの陰陽師っぽい人が入って来ました。

「沼に行った時、本当に何も見ていないかい?よーく思い出して。」

私はそんなことより弟出せや、と思いましたが、沼の事を思い返してみました。すると陰陽師っぽい人に言っていない事を思い出しました。あのザバァッと何かが上がってきたような音です。

「あー…大したことじゃないかもしれないんですが帰ろうと立ち上がった時、沼から何かが上がってきたみたいなザバァッて音がしました。」

と私が言うと、陰陽師っぽい人は目の色を変えて、

「それで!振り返ってしまったのか?!」

「いえ…ヤバいと思ったので振り返らずに7地蔵の所まで一直線に走りました…」

あまりの迫力に私は気圧されながら言いました。

「それは弟君も同じだったかい?」

ハッとしました。弟とは手を繋いで走りましたが、私は振り返ってないので弟も振り返らずに走ったのかわかりません。

陰陽師っぽい人は納得したようにまた大丈夫と言って部屋から出ていってしまいました。

私は部屋に残されたままどういう事なのかと考えました。

つまり、私は振り返らなかったが弟は振り返ってしまい何かを見てしまった、と。その何かはきっとよくないものでそれのせいで今私達はここにいる…。

私は弟が何を見たのかずっと考えていました。しばらく考えているとお坊さん数人が私を迎えに来ました。

続く

怖い話投稿:ホラーテラー どぶネズミさん  

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