短編2
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難破船

この話はあんまり怖くないと思います。ありがちな話であるかどうかはよくわからないんですが、まあ、期待せずに読んでください。

私には、小学生の弟がいます。

その弟の最近のお気に入りが60~70センチくらいの大きな船のおもちゃです。

今日は、それにまつわる話をします。

その船には、小さいですが、舵もあり、航海士とか、船長とかの人形もついていて、わりとよくできているものなんです。

両親が誕生日に買ってくれたもので、弟は、よくそれで遊んでいました。

ある日のことです。

弟の部屋からいつものようにそのおもちゃで遊んでいる声がしていました。

でも、今日はやけにその声が大きいような気がするんです。弟の部屋は私の部屋のとなりで、私の部屋のドアも、弟の部屋のドアも、ちゃんとしまってるんですが、それでも声がきこえてくるんです。

ちょっとおかしいな、と思って自分の部屋を出て、弟の部屋の前までいってみることにしました。

廊下に出ると、弟の部屋から海のにおいがするんです。波のような音や、たくさんの人の悲鳴・・・

映画にたとえるなら、まるで、「タイタニック」のようなかんじでした。

怖くなって、弟の部屋のドアを開けようとするんですが、押しても引いても開きません。

半ばパニックになってドアをたたこうとしても、手の力が抜けて、たたけません。声もあげることができません。

ただ、その間もずっと、「タイタニック」のようなBGMは続いていて、弟の声も姿も見えないのです。

呆然として、何人かの男の人が英語でわめきたてる声や、女の人の悲鳴、木が折れるような音や、耳が割れそうなほどの波の音をきいていました。

これほど大きな音がしているのに、家族のだれも出てこないことが、怖くて心細くてたまりませんでした。

5分ほどそうしていたでしょうか。

あれほど開かなかったドアが急に開いて、あの船のおもちゃで遊んでいた弟がこっちをびっくりして見ていました。

海のにおいも、だれかの悲鳴も、波の音も、残っていません。

あれはなんだったんでしょうか。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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