中編3
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深夜の病院

あまり怖くない話で恐縮なんですが…

私が中学生の頃、祖母が隣町の病院に入院したので、少しの間だけ泊まり込みで付き添ったんです。

夜中にふと喉の渇きで目が覚め、自販機までジュースを買いに行くことにしました。

途中、リネン類等の荷物を乗せる荷台が数台、壁に向けて止めてあるのが目に入りました。

そこから10メートルほど先に自販機があります。

数本のジュースを買い、病室まで戻ろうと振り返った時でした。

壁に向けて止めてある荷台のうち、右端の一台だけ動き出したのです。

荷台はまるで人が動かしているように、まず後ろに下がり、私のいる方向へ向きを換え、近づいてきました。ゆっくり、ゆっくり…。

この時点で私の心臓は口から飛び出んばかりです。

踵を返して走って逃げたい衝動に駈られましたが、病室はおろかナースステーションも、その荷台のある場所を通りすぎなければ辿り着けません。

『落ち着け、ストッパーが一台だけ掛け忘れられたに違いない』と自分に言い聞かせ、その荷台を無視して通りすぎようとしたんですが…

このまま通路にあってはジャマになると思い、怖いのを我慢してその荷台を元にあった場所に戻したんです。

よせばいいのに、ストッパーを掛けようとさえしました。

…無いんです、ストッパーが(泣)

でも私も荷台に詳しい訳では無いので、私の判らない所にストッパーが付いてるんだろうと思うことにして、早足で病室に戻りました。走ると何かに追い掛けられる気がしたので(笑)

病室に戻りましたが恐怖は消えません。田舎の病院だったのもあってか、病室は広いのに、祖母一人しかいない上、もちろん病気で寝ている訳ですから心細いことこの上ないです。

それでも仮眠用の布団に潜り込んで寝てしまおうと思ったんですが…

「あんた、そこで何やってんの」

祖母の声です。びっくりして跳ね起きました。

見ると、祖母は布団に横になったまま目をぱっちりと開いています。

「起きたの?大丈夫?」

祖母のベッドまで行き、声を掛けました。しかし祖母は仮眠用の布団から目を離さず、

「あんた、そこから出ていきなさい。くっついてるんじゃないよ」

細かい内容は忘れましたが、そのようなことを言ってたと記憶してます。

寝惚けてたか、病のせいかも分かりませんがゾッとして、もう仮眠用の布団でも寝れませんでした。

それでも祖母のベッドの側に丸椅子を置いて座ってたんですが、いつの間にか微睡んでいたらしく、看護師さんの検温でハッと我に帰りました。

喉も渇いたので昨夜買ったジュースでも飲もうかと戸棚を探したんですが、消えてました(涙)

その後、無事祖母も退院しましたのであの夜のことを聞いたことがあるんですが、祖母が話したこと自体は記憶には無いようでした。

ただ、作業着のような服を着た男が私の布団に入ってくっついている夢は見たみたいですが…

ちなみに後で知ったんですが、その病院は『出る』ことで有名な炭鉱病院だったみたいです。

霊感が無くて良かったと心から思う出来事でした。

消えたジュースも『何か』の喉の渇きに少しでも役に立ててれば良いんですが…(自分の不注意の可能性は忘れる)

無駄に長くなってしまいまして申し訳ありませんでした。

怖い話投稿:ホラーテラー seaさん  

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