短編2
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気配

仕事が残業になり、結局帰路についたのは夜の11時。職場から家まで…

この118号線をあと一時間半は車を走らせないと辿り着けない。

時刻は午前0時を回ろうとしていた。

ふと、車のオーディオにノイズが入った…

『何だよ、また故障かよ!?くそっ。』

古い年式の外車だったから故障は多かったのだが、オーディオはついこの間直したばかりだったし、連続残業で帰りが遅く寝不足気味だったせいもあって、少しイライラしていた。

ノイズが鬱陶しいので、オーディオの電源を落とそうとした時だった。

…聞こえる。ノイズに交じって何か人の声の様なものが。

『疲れてるし、気のせいだろ…』

と、気にもせずオーディオのスイッチを切った。

『……ん?』

ノイズは消えた。だけど、あの声の様なものはさっきよりもはっきりと聞こえだした。

囁く?いや、呻くように圧し殺した声がハッキリと、後部座席から俺の耳に届いた。

「…どうして、誰も…

気が付いて…くれない…」

急ブレーキで車が路肩に止まる。

急いで後部座席を振り返ると、

泥に汚れた顔を真っ直ぐに俺の方に向けてたたずむ少女がいた。

その目は虚ろで、口元には全く力が入ってない。

口からはよだれだか何かが彼女の赤いスカートに滴り落ちていた。

「助けて…」

そう言って、彼女は消えていった…。

俺は、恐怖に震える体で何とか車を運転して家まで帰った。

次の日、車のオーディオは問題なく動いた。ノイズも無い。

一体あれは何だったのだろう?

きっと疲れのせいだと言う事にしておこうと、自分に言い聞かせ、そのまま2週間程が過ぎたある日、テレビのニュースを見ていた俺は、あの時の恐怖をまた体験するはめになった。

ニュースの画面には行方不明少女の遺体が発見されたという内容のテロップ。

そして、被害にあった少女は…そう、あの日俺の車の後部座席にいた彼女だった。

遺体は死後数週間経過していたらしい…

そして、犯人は今も捕まっていない。

きっと彼女は誰かに気が付いて欲しかったのかもしれない。彼女の存在に…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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