短編2
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海の家にて

友人から聞いた話です。

俺は数年前の夏、ある海の家でバイトしていた。

その海には数件の海の家が立ち並んでいて

当時、意気がっていた俺は

同じく意気がっていた近くの海の家の兄ちゃんAと険悪になっていた。

そんなある日

Aの居る海の家のバイトBが海で溺れてしまった。

意気がっていたAは泥酔状態にもかかわらず海へ救出に向かった。

Bは無事ライフセーバーに救出されたが予想通りAは帰って来なかった。

レスキュー隊が来て捜索が始まるが緊迫感が薄い。

不思議に思い海の一点を見つめるベテラン隊員に聞くと

「下手に捜さないでも潮の流れから考えれば、あの辺りに浮かんでくるよ」

と見つめていた場所を指さす。

アピール捜しをしていたレスキュー隊もいなくなった数日後

教えてもらった場所を何とは無しに見つめていると

…何か浮いている

慌てて周囲に声をかける。

近くの海の家の男達やライフセーバーが集まる

その間に岸まで来ていた何かを見て俺は確信した。

間違いなくAだ。

…色々あったが遺体くらいは俺が引き上げてやろう

と手を伸ばした瞬間

「おい!手ぇ濡らしてからにしろ」

言われた時に俺はすでに

海から引き上げようと

思い切りAの手首を握っていた。

『…ヌンッ』

まるで豆腐か何かを握ったような

何も手応えのない感覚に驚いた俺は咄嗟に手を離した。

「あ〜あ…触っちまったか…よく手洗えよ」

の声に俺は自分の手を見る

数日間海中を漂っていたAの手首の皮膚が

のっぺりと俺の手の平にくっついてきていた。

後で教えてもらったんだが

手の平の油が浮いた皮膚を持って来てしまうらしい…

気持ち悪かった…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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