短編2
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深夜、自殺の名所にて3

解りやすく手短に説明すると、生まれてからはごくごく普通の生活をしていたが高校卒業と同時に入社した職場からガラリと人生が変わった。職場ではいじめられ半年前に退社。5年前に母親が病気で寝たきり状態。2年前に弟が事故死。1年前に父親が癌で死亡。3年前から付き合っていた彼氏のDVも酷く、1週間前にやっと別れ…壮絶なこの7年間、25歳の生涯に幕を閉じようと今日ここに来たという理由だった。

聞いていて切なかったし。多分兄も同じだったと思う。俺にしたらただそれだけの理由で自殺するの?としか思えなかったが、彼女にはそれだけで十分過ぎたのだろう。

すでに時計は日付が変わっていた。

一通り聞いた所で今度は俺が励ました。今出来ることは自殺をさせないこと。ただそれしかできないと思い励ました。月並みな言葉しか出てこなかった。

兄はただ黙って俺の言葉を聞いて頷いてるだけだった。

「大丈夫だよ」とか「心配いらない」とか、今思えば何を根拠にとなってしまうが…熱く語っていた。兄が何も言わなかったのはかなりムカついた。

女は聞いてはいたが、だから何?という表情で睨むというか、とても強ばった感じで聞いていた。

全てにおいて説得力はなかったと思う。

俺も頭に思いつく言葉は全て出尽くしてしまった。

……長い沈黙……

ここで兄が口を開いた。

「さっきはごめんね。バックドロップなんかして。大丈夫じゃないよね…それで死んじゃったらシャレにならないよな。自分でやっといて正直焦ったよ。本当ごめん…。」

女が少し笑った。俺は複雑な思いだった。あれだけ励ましても、眉一つ動かさなかったのに、たった兄の一言で…ムカついたのと笑った事に嬉しかった、そして兄に対する敗北感が…複雑だった。

俺はなんかやるせない感じというか、言い表せない気持ちだった。前を見てタバコを口にした。

火をつけた時に、

前方から誰かが歩いてきた。

霧でよく見えなかったが一人だった。全身に鳥肌が立つ。こんな深夜に、この場所で一人って…ありえない。段々と近づいてきた。

時間は深夜1時半。この辺に民家などないし、街まで歩いても2時間はかかるだろう。

兄を呼ぶと、女もそれに釘付けになった。

車から約20M位で容姿がはっきり分かった。男でメガネをかけ、スーツを着ていた。

そして男は橋の方へと歩いていった

続く

怖い話投稿:ホラーテラー 久々の匿名で★さん  

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