ある日、自分が体験した出来事です。
時間は確認していませんが、深夜に目が覚め、ふと缶コーヒーが飲みたくなったので自宅アパートの一階にある自販機へ行くことにしました。
秋口なのでTシャツでは寒いと思い、壁に掛かっているジャージをハンガーから外して羽織り、玄関の靴箱からサンダルを取り出して、玄関の外へ。
自宅は三階。エレベーター無しの四階建てのアパートの為、階段で下りるのですが、
二階まで降りたときに下を見てみると、一階まで行く途中にある踊場が真っ暗で何も見えません。
蛍光灯でも切れているのか?とも思いましたが、それにしても光りを切り取って捨ててしまったかのように真っ暗。
二階の電気は点いているので、ある程度は見えても良いはずですが、踊場手前三段位までの階段から、全く見えません。
こんなに暗くなるものかな?と思ったくらいで、大して気にもせず、階段を降りて行きました。
暗闇の中に入ると一切物が見えなくなり、壁に手を付きながら、慎重に一段、もう一段と段差の下に足を降ろします。
もう一段、と思って足を降ろそうとしましたが、既に踊場に到達したのか、段は無く平らになっており少し体勢をくずし、誰も見ていないのによろめいてしまった自分が恥ずかしくなりました。
踊場に到達し、先も真っ暗で見えないため、壁伝いに歩き、一階への階段を目指し、一歩踏み出し、また一歩踏み出した瞬間、背後に何か気配がしました。
何かな?と思い振り返って見てみると、緑色の光り(閉店後の店舗内に光る非常口のライトの光り?みたいな)の中に、髪の長い、袖の長い白いワンピース?白装束?わかりませんが、そんなようなのを着た多分女性と思われる人が立っていました。
頭を垂れ、髪の毛が顔を覆っているため顔が確認出来ません。
髪の毛はくしゃくしゃで、パーマを掛けているような感じでした。
幽霊を見てしまった!
何故か起きた危機感から、逃げ出そうとしましたが、足が恐怖で動きません。
やばい!なんかされる!怖い逃げないとなんかやばい!
ドキドキしてきましたが、どうにも出来ません。顔も動かず、目も釘付けになってしまい、恐怖ばかりが大きくなります。
必死に目の前に居る何かから逃げる為に、目を反らす為に何か出来ないか考えていると。
その何かが急に、スーッと足を動かさず音も立てずに自分の方に近付いて来ました。
来る!
そう思った時には、もう目の前、というか、その何かと自分の間は1センチ。目の前は、相手の頭頂部しか見えません。
あぁ、終わった。殺される。
何故かそう思った瞬間両手でほっべたを触られて、相手が顔を引き寄せてきたその時、
目が覚めました。
夢か…?
目の前に見えるのは、豆電球の淡い光りに照らされた天井。
あぁー、怖かったぁー。夢かぁー。
安心感が考えられない位あふれてきます。死まで覚悟した位なので、それはもうもの凄い安心感でした。
恐怖から解放されましたが、ドキドキは止まりません。タバコでも吸って落ち着こうとし、体を起こそうとしました。
が、起こせません。起こせない所か、指すら動かすことが出来ません。
金縛り?なにこれ?
瞬きと、目玉を動かず位は出来ましたが、他はさっぱりでした。目をつむり、なんとか寝ようとしましたが、恐怖が大きくなり、寝れる気配がありません。
どうしよう、何か怖いのが出たらどうしよう。
心配していると、おでこにさわさわと何かが触ります。
何かな?こそばゆいなぁ。
さわさわの正体への興味が恐怖に勝ったのか、目を開き確認します。
真っ直ぐ見たときに視界の上の方に黒いもじゃもじゃが見えました。とうとう恐怖でおかしくなったのか自分に何が起こったのか、そのもじゃもじゃを触りたくなりました。
その時は考えもしませんでしたが、今まで動かなかった筈の右手が動き、そのもじゃもじゃに触れました。
触った感触が、下の毛そっくりで、なんだかおかしくなって、
なにこれ?○○毛みたいだ!すげー、なにこれ?こんなとこにおかしくね?
楽しくなり、結構長い間、さわさわしてました。
ふと、いや、これはなんなんだ?と思いはじめ、もじゃもじゃの根源を知りたくなりました。
根本を探すように、楽しみをすぐに終わらせないようにゆっくりと、わくわくで目玉を上に動かして行きます。
黒いもじゃもじゃ
まだ黒いもじゃもじゃ
まだまだもじゃもじゃ
もじゃもじゃ?
肌?
なに?おでこ?
もっと上に目玉を動かします。
おでこ?
眉毛?
え?
そこには二つの目がありました。じっと見ている二つの目。
自分の頭の上は壁。
人が壁を貫いて、自分を覗き込んでる?幽霊?
もじゃもじゃ?パーマ?
さっきの?
気付いた瞬間、声を出さず空気を吐き出すように、目を見開きこちらを見ながらそいつは言いました。
かわいい。
そこで気を失ったのか、目覚めると朝でした。
きっと悪い夢を見たんだ。
そう言い聞かせ、体を起こし、玄関に新聞を取りに行くと。
脱ぎっぱなしのサンダル。
鍵は開けっ放し。
自分はジャージを着たままでした。
無理矢理、夢だったんだと自分に言い聞かせてみましたが、無理でした\(^O^)/
ありがとうございました。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話