短編2
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子捨て池

池にズブズブと人形や花、お菓子、手鞠などが沈むと急に辺りに音が無くなりました。ほんの一瞬だけだったけど。

鳥のさえずり、風の音、木の葉の動く音、が全くしなくなりました。

気づいたのは俺だけじゃないみたいでネズミとサルがなんかヤバイ帰ろう、と言い、ブタはえ?なんでー?みたいな感じ(本当に鈍感)でした。

と池から離れようとしたときゴボッと音がし、俺らは振り返りました。

見れば池の中心辺りからゴボッゴボッと泡が上がっています。

わーっと俺らは叫びながら逃げたしました。逃げているとあることに気がつきました。

同じ所をぐるぐる走っている。

走っても走っても同じ景色。大きな木に傷をつけてみるとやっぱりそう。

気づくとさらに恐怖は募りました。サルが走っているせいで顔を真っ赤にして言います。

「なぁ…俺達同じとこ走って…」

「言うなっ!そんなことわかってらぁ!!」

ブタがとたんに座り込みました。

「おい!ブタ!何してんだよ!」

「疲れた…休憩…」

ブタを置いて走ってもまた同じだと思いましたが、俺達は走り続けました。

そしてブタの所まで戻ってきた、という時に。

「あれ?!ブタどこ行った?!」

「オーイブターーー返事しろぉ!!!」

しかし何も帰って来ません。もしかしたらブタも俺らのあと追って走ったのかも、と俺達は待ちましたがきません。

俺達は焦りはじめました。池に戻るか、逃げ続けるか―。揉めに揉めましたが、結局俺達はまた走りはじめました。

すると遠くから声が聞こえてきました。

俺達はビビりにびびって固まっていましたが、声はどんどん近づいてきて藪の中からオッサンが現れました。

「このバカどもが!!子捨ての池の結界を切りよってからに!堂々巡りまでさせられて、貴様ら死にたいんか!!!」

俺達は全く訳がわからないけどとりあえず怒られていることはわかり、オッサンに謝りました。

「化かされて反省したじゃろ。さ、とっとと帰るよ。」

そうしてオッサンに連れられ俺達は寺まで来てお祓いしてもらったあと、ある事に気づいた。

「すいません。もう一人いたんすけどここに来てますか?」

そう、俺達はブタを忘れていたのだ。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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