「なぁにぃ?!もう一人いただとぉお?!」
オッサンは俺らに唾をかける勢いで怒鳴った。
「どこではぐれた?!」
「えとお、同じとこ走っている時にブタが疲れたって言って座り込んで…どうせまた同じ場所に帰ってくるって思ってたから置いて走って帰ってきたら、ブタがいなくて…」
オッサンは話を聞き終えるか否かのところで何かを手にし、表へすっ飛んでいった。
残された俺達はお茶運んでくれたお姉さんに頼んで両親に連絡させてもらい、オッサンを待った。
三時間くらいしてオッサンが帰ってきた。
見つからなかったらしい。
しばらくして俺達の両親が迎えにきた。
オッサンに礼を言ってうちの両親に限らずネズミもサルもビンタかげんこつを食らった。
あらかた話を俺らの両親にし終えると、オッサンはブタの両親に電話した。
オッサンは俺らは帰っていいよと言い、これを寝るとき頭の近くにくるように貼っとけと、お札をくれた。
この時お札なんて初めて見たもんだからちょっと嬉しかった。
なんて思いもつかの間、翌日大変なことになっていた。
枕元に貼ってた札が濡れて破れかけてるどころじゃなかった。
ブタが帰ってこないのだ。遂には警察に届けまで出したがブタは帰ってこない。
一月後、俺らはまたオッサンに呼ばれた。
何をし、何を聞き、なにが起こったのかを徹底的に聞かれ俺達も必死に思い出した。
それで話が池から泡が上がったところでオッサンが待ったをかけた。
「泡が上がってきただと…?それで何か出てきたか?何か見たのか?」
オッサンは脂汗を流しながら俺らににじりよった。俺達が見ていない泡だけだというと、オッサンは黙り込んでアゴ髭をいじった。
ブツブツとなにかあーでもないこうでもないか…と独り言を拾おうとしたがむりだった。
そしてオッサンは覚悟を決めたように俺達に言った。
「池行くぞ。札やるから絶対に落とすな。あと俺から絶対に離れるな。もとはと言えばお前さん等の蒔いた種だ、自分等もそれなりに腹を据えろ。」
そして俺達は忘れ難い物を池で目の当たりにすることとなった。
つづく
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話