中編3
  • 表示切替
  • 使い方

夜の山にて

夜の山は、不気味だし不思議だ。

夜の山で、私は3回ほど不思議な怖い体験をしたことがある。

最初の体験は、14年前に地元の山でした。

友人のEの車で、運転手はE、助手席にM、Eの後ろ(運転手側)にK、Mの後ろ(助手席側)に私という配置で、地元の山に行った。

北の原に着き、休憩していた時、前方にある建物の向かって右側の暗い部分に、私は妙な雰囲気を感じて、

「なんかあの建物の右側、気味悪くないか?」

と言うと、Mが「なんか空気が変ですよね」と答えた。

直後、Mがバッ!と振り返り、

「○○さん(私)、僕のシートベルト引っ張りました?」

と言う。

私はそんなことはしていない。

「いや、してないよ」

と答えるとMは、

「そうですよね、実はさっき、(車の)窓の外から手が伸びてきて、僕のシートベルト引っ張ったんですよ」

と言った。

Mは嘘をつくような男じゃない。みんな一斉に青ざめ、慌てて逃げた。

二度目も地元の山で11年前に。

私は自分の車で、友人Dと一緒に夜景が綺麗なスポットを目指して山に入った。

途中、工事の為に迂回路に入ったら、おかしな場所に迷い込んだ。

舗装されていない砂利道、右側は川、左側は崖の狭い道。

民家すら見当たらない。反転する場所も無く、引き返すことも出来ずひたすら前へと進んだ。

勾配を何度も走る。

小さな小さな山なのに、いくら走っても目的地のスポットにも、舗装された道にも辿り着けない。

2時間は走った頃、ポツポツと民家が見えてきたが、どの家にも明かりが点いていない。

一軒ごとに数百メートルは離れている。

道は舗装されていない道のまま。

そして、民家と民家の間の小さな空き地に、何年も野ざらしにされたと思われる錆び付いた車が放置されていた。

何の気なしに通り過ぎた時、私とDは妙なことに気づいた。

ルームランプが点いている…。

絶対にバッテリーも切れたような、錆び付いた古い車なのに何故…?

振り返ったDと、バックミラーで確認した私は、直後パニックになった。

錆び付いた車の、ヘッドライトが点いた! 明らかに、車の中には人は居なかったのに!

必死に逃げた。

とにかく前へ!

すると、いきなり舗装された道になり、左折した瞬間、私達は迂回路の手間の枝道に出ていた

疲れきった私とDは、目的地に行くのをやめて帰った…。

期待はされてないと思うけど、3つ目の体験。

2つ目の体験と同じ年、東京で働いていた高校の同級生Iが帰っていて、ちょくちょく遊んでいた。

毎回ゲームするのにも飽きて(Iが強過ぎて勝てないから)、心霊スポットに行ってみようということになった。

目的地は、鳥取県と岡山県の県境にある人形峠。心霊体験はしなかったが、2回行ったことがあった。

夜10時に出発。

運転手は私、Iは助手席。島根県から鳥取県に入り、山道を行く。

しばらく走ると、濃い霧に覆われて視界は1メートルぐらいしかない。

ヘッドライトが霧に乱反射して、さらに視界が悪い。

慎重に運転した。

深く濃い霧の中は、まるで異空間。途中でIは寝てしまい、一人孤独に運転を続ける。

時々、霧の中に浮かび上がる標識に、「人形峠」とあり、矢印の通りに走る。

しかし、何時間走っても着かない。

いい加減、飽きた時、いきなり霧が晴れて小さな町並みが見えてきた。

しかし、人形峠とは思えない開けた町並み…あれ、こんな町あったっけ?

そう思った時、見えてきた標識を見て唖然とした…。

「蒜山高原」

同じ鳥取県と岡山県の県境だけど、全く逆方向だ。

人形峠は東へ進んだ方向、蒜山高原は西寄り。

何時間も標識通りに、ひたすら東へと進んでいたのに…。

蒜山高原のパーキングに車を停めて、何度も思い返すが西へと折り返した記憶は無い。

ひたすら直進していたのに…。

まあ行くべきではないってことか…と思い、そのまま帰った。

ちなみにIは、家に送り届けるまで一度も目を覚ますことなく熟睡していた。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

Concrete
コメント怖い
00
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ