短編2
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寮の少年

私が初めて幽霊に会ったのは、M大学1年生のときでした。

私は地方住みだったので大学の寮で生活していました。

小説家志望だった私は当選しなかった話をアレンジしてたまに遊びにくる寮生たちの妹や弟に聞かせてあげていました

ある冬のことです。小学6年生のヒサオくんという男の子がいて私のことを「お話お姉さん」と呼ぶようになりました。

それで周りの子も私のことを「お話お姉さん」と呼ぶようになりました。

そのことがきっかけでヒサオくんと仲良くなりました。ヒサオくんも小説家に興味があるらしく、よく私に話の作り方などを聞きに来ました。

ヒサオくんは食堂の野菜粥が大好きで、寮に遊びに来ると必ず食べていました。そこの寮の粥は美味しいと大学中の評判でした。

春のことです。

いつものように2人でお粥を食べていると寮でボヤ騒ぎが起きました。

するとヒサオくんは突然泣き出し始め、すっ…と消えてしまったのです。

私は訳が分からぬまま食堂のおばさんのもとに走りました。おばさんに訳を説明すると、何故かおばさんはやっぱりというように頷いたのです。そして

「ヒサオくんの話をしようかね?」と言ったので

私は頷きました。

「ヒサオくんは戦災孤児でな、スリして暮らしてたんだが、偉いお役人のスリして指名手配されたんだ。

そしてここに逃げ込んできた。私はまだ20歳だった。

あるひ突然小さな男の子がお腹空いたって言ってきたから野菜粥を作ってやったんだ。そしたら旨い旨いって泣きながら自分の生い立ちを話したんだ。

それ聞いてたら可哀想でな、かくまってやってたんだが、ある日寮で火事が起こって、外に逃げ出したところを捕まったんだ……

お役人に何度もぶたれてヒサオくんは死んじまったって聞いた……

ヒサオくんは小説家になるのが夢でな…

それから60年後、ヒサオくんが現れたときは驚いたが、きっと成仏して生まれ変わったんだと思ったんだがな」

怖い話投稿:ホラーテラー 小学4年生さん  

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